- ツールが増えて負担に変わる6つの正体
- サービスを減らすときの4つの判断基準
- 統合するものと分けたままにするもの
- クラウドとローカルの線引きの使い方
結論
減らすかどうかは、ツールの数では決めません。「そのサービスがなくなったとき、困る人と困らない人がはっきり分かれるか」で決めます。全員が毎日使っているものは残し、一部の人が月に数回開くだけのものから見直します。
数を減らすこと自体が目的になると、現場が使っていた便利なものまで止めてしまい、結局は手作業に戻ります。順番としては、減らす前に「どこに何があるか」を書き出すほうが先です。
何が負担に変わっているのか
増えたサービスが重く感じられるのは、たいてい次のどれかです。心当たりのある項目に印を付けてみてください。
- アカウント管理:入退社のたびに、追加と削除をサービスの数だけ繰り返す。削除漏れは、退職した人のアカウントが残る形で表に出ます。
- 同じデータの二重管理:取引先の担当者名が、見積のサービスと連絡先のサービスの両方にある。片方だけ直した状態が続く。
- 通知の分散:依頼が、メール・チャット・サービス内のコメントの3か所に散る。どこを見れば全部そろうかが誰にも言えない。
- 月額の積み上がり:1つは少額でも、年単位で合計すると想定より大きい。使っていないアカウント分も含まれている。
- 教育コスト:新しく入った人に説明することが増え、説明する側の時間が削られる。
- データの所在が分からなくなる:契約を止めた後で「あの資料はどこにあったか」となる。
印が1つか2つなら、減らす必要はありません。3つ以上付いた場合に、次の判断に進みます。
減らす判断基準
サービスごとに、次の4つを確認します。答えに迷う時点で、そのサービスは業務に根付いていません。
- 代わりがあるか:いま契約している別のサービスで、同じことができるか。できるとしても、手間が明らかに増えるなら統合しない。
- やめたときに残るものは何か:中のデータを書き出せるか。書き出した形式が後で読めるか。読めない形式でしか出せないものは、やめる前に手当てが要る。
- 誰が毎日使っているか:名前を挙げられるか。挙げられないサービスは、実際には使われていない可能性がある。
- 止まったときに業務が止まるか:止まるなら、それは軽い気持ちで入れ替えられるものではない。
このうち2番だけは、減らすかどうかに関係なく、いま確認しておく価値があります。
解約するとデータの取り出し期限が来るサービスがあります。取り出し方法と期限は、解約手続きに入る前に各社の公式ドキュメントで確認してください。
統合するもの、分けたままにするもの
すべてを1つにまとめるのが良いわけではありません。目安はこうです。
統合したほうがよいものは、同じ情報を重複して持っているものです。取引先の連絡先、スケジュール、社内の連絡です。ここが分かれていると、更新のたびに全部を直すことになります。
分けたままでよいものは、権限の範囲が違うものです。給与や人事の情報と、全員が見る社内連絡は、同じ場所に置かないほうが管理が簡単です。「誰に見せるか」が違うものを1か所にまとめると、細かい権限設定を延々と続けることになります。
判断に迷ったら、「この2つを1つにしたとき、見える人が増えないか」を確認します。増えるなら分けたままにします。
実務ではこうなる
たとえば6人の食品加工の会社で、受注はメール、在庫はExcel、写真の共有はチャット、請求書の作成は別のサービス、という状態だとします。
ここで手を付けるのは、在庫のExcelではありません。まず、取引先の連絡先が何か所にあるかを数えます。3か所にあれば、そのうち1つを「正しい場所」と決めて、残りは参照に切り替えます。次に、依頼が届く経路をチャットに寄せます。メールで届いたものはチャットに転記する、という一本のルールでも効果があります。
写真の共有は、そのまま残して構いません。現場が毎日使っていて、代わりがないからです。
クラウドとローカルの使い分け
APOUL LCC(Life Connect Cloud)は、クラウドとローカルのどちらかに寄せない、という考え方です。共有・同期・複数人での更新が要るものはクラウドに置き、端末の中で完結する処理はローカルで済ませます。
この線引きは、サービスを減らすときの手がかりにもなります。定型文の貼り付け、書類の下書き、手元での集計のように、そもそも共有の必要がない作業まで外部のサービスに置くと、アカウントと通知と費用だけが増えます。逆に、複数人が同時に見るものを各自の端末に置くと、最新がどれか分からなくなります。
手元で完結する作業をローカルに戻すと、そのデータは端末の故障と一緒に消えます。バックアップの取り方は別に決めてください。
まとめ
ツールの数を目標にしないでください。負担の正体は、アカウント・二重管理・通知の分散・費用・教育・データの所在のどれかです。サービスごとに、代わりの有無、やめたときに残るもの、毎日使う人の名前、止まったときの影響を確認します。重複している情報は統合し、見せる相手が違う情報は分けたままにします。共有が要らない作業は手元に戻す、という線引きも合わせて決めておくと、次に何かを増やすときの判断が早くなります。