- 探す時間と中断が積み重なる理由
- 入口を一か所に決めるときの基準
- 置くものと置かないものの分け方
- 一覧を増やしすぎない見直しの手順
結論
よく使うWebサイトとファイルは、入口を一か所に集めてください。ブラウザを開き、ブックマークバーを探し、フォルダを開き、さらにその中を探す。この4段階を1段階にするだけで、1日の細かい待ち時間がまとめて消えます。
道具は何でもかまいません。大事なのは「迷わず開ける場所が1つある」ことと、「そこに置くものを定期的に減らす」ことの2つです。
探す時間はどこで消えているか
1回の「探す」は、たとえば数秒から十数秒ほどです。短いので、本人も損をしている自覚がありません。ところが、勤怠の打刻、経費申請、共有フォルダの見積書、取引先の受発注サイト、社内のチャット、といった具合に、1日の中で何度も起きています。
問題は時間よりも中断のほうです。「何をしようとしていたか」を思い出すのに、探した時間と同じくらいかかります。作業に戻るまでの往復が、疲れとして残ります。
もう1つ、探し方が人によって違うことも効いてきます。ある人はブックマーク、ある人は検索履歴、ある人は毎回検索エンジンで社名を打ち直す。担当が休んだ日に、その人しかたどり着けないページが出てくるのは、このためです。
入口を一か所に決める
最初にやることは、道具選びではなく場所決めです。次のどれか1つを「入口」と決めます。
- ブラウザのブックマークバーと、その中のフォルダ
- ブラウザの起動時やホームボタンで開くページ(社内のリンク集ページ)
- デスクトップ上の1つのフォルダ
- 使っているグループウェアやチャットにピン留めしたリンク集
どれが正解ということはありません。ただし、2つ以上を同時に育てないでください。ブックマークと共有フォルダの両方にリンク集があると、どちらが新しいか分からなくなり、結局どちらも使われなくなります。
判断の基準は「1日で最初に開くものは何か」です。ブラウザから1日が始まる仕事ならブックマーク、ファイルサーバーから始まる仕事ならフォルダです。
何を置いて、何を置かないか
置くのは「週に1回以上使うもの」だけにします。目安として、20個から30個です。それ以上になると、一覧から探す時間が発生し、元に戻ります。
| 置く | 置かない |
|---|---|
| 毎日使う業務システムのログイン画面 | 年に数回しか見ない資料 |
| 進行中の案件のフォルダ | 終わった案件のフォルダ |
| 提出期限のある申請フォーム | 一度読んで終わりの記事 |
| 更新し続けている一覧表やスケジュール | 個人の趣味のページ |
| 取引先の受発注・請求のサイト | 検索すればすぐ出てくる公的機関のトップページ |
終わった案件や古い資料は、消すのではなく「保管」フォルダに移します。消すのが怖くて残す、というのが一覧が膨らむ最大の原因なので、移す先をあらかじめ作っておくと減らしやすくなります。
並べ方を決める
分類は2通りあります。業務の種類で分けるか、使う頻度で分けるかです。
使う頻度で分ける
1日に何度も開くものを先頭、週に1回のものをその次、月に1回のものを最後に置きます。並び順そのものが優先度になるので、考えずに手が動きます。小さい会社や、一人が何役もこなす職場に向いています。
業務の種類で分ける
「勤怠・経費」「受発注」「見積・請求」「社内共有」のようにフォルダを作り、その中に入れます。担当が分かれている職場や、人によって使うものが違う職場に向いています。
フォルダを作るときは、名前の先頭に番号を付けます。01_毎日、02_受発注、03_経理、という形です。デスクトップなどのフォルダは名前順に並ぶため、番号がないと使う順番と表示順がずれます。
階層は2段までにしてください。3段目を作りたくなったら、それは置く数が多すぎるという合図です。
実務ではこうなる
事務を一人で担当している会社の例です。朝は、勤怠システムで打刻し、メールを確認し、受注サイトで前日分の注文を確認し、共有フォルダの受注一覧に転記します。この4つが、ブックマークバーの先頭に「01_朝」というフォルダでまとまっていれば、順番に開くだけで朝の作業が始まります。
月末は違うものを開きます。請求書のひな形が入ったフォルダ、取引先ごとの請求金額をまとめた表、振込データを作る画面、郵便の送り状の画面です。これを「05_月末」にまとめておくと、「先月どうやったか」を思い出す時間がなくなります。
月に1回しか使わない作業ほど、この効果が出ます。毎日やることは体が覚えていますが、月に1回のことは毎回思い出すところから始まるからです。
ブックマークだけで足りるとき、足りないとき
Webサイトしか使わないなら、ブラウザのブックマークで十分です。追加の道具は要りません。
足りなくなるのは、次の場合です。
- Webサイトとローカルのファイルを行き来する。ブックマークからは、ExcelやWordのファイルを専用のアプリで直接開けません
- 端末を2台以上使っていて、同じ入口をどちらでも開きたい
- ブラウザを複数使い分けている
- 決まった手順で複数の画面を順番に開く(毎朝5つのページを開くなど)
この場合は、リンクとファイルの両方を並べられる場所をデスクトップに1つ作るか、複数の入口をまとめて開ける仕組みを使います。いずれにしても、置き場所は1つに保ったままにしてください。
共有するものと個人のものを分ける
会社として全員が使うリンク集と、個人の作業用の一覧は、混ぜないでください。混ぜると、誰かの都合で並び順が変わったときに全員が困ります。
会社の一覧には、業務システムのログイン画面、社内規程の置き場所、申請フォーム、共有フォルダの入口など、「誰が担当でも必要なもの」だけを入れます。更新する人を1人決めておきます。
個人の一覧には、自分の担当だけで使うものを入れます。異動や退職のときに、会社の一覧のほうを引き継げば済む状態にしておくのが目的です。
続けるための見直しと注意点
減らすきっかけを決める
放っておくと、一覧は増え続けます。減らすきっかけを先に決めておいてください。
- 四半期に1回、一覧を上から見て、3か月使っていないものを保管に移す
- リンク切れを直す。システムの入れ替えでURLが変わっていることがよくある
- 新しく増えたものが、置く基準(週1回以上)を満たしているか確認する
- 会社の一覧は、更新担当が変わっていないか確認する
所要時間は10分程度です。カレンダーに繰り返し予定として入れておくのが、いちばん続きます。
やりすぎないために
入口を作ること自体が目的になると、整理に時間を使って終わります。最初は、今日の午前中に開いたページとファイルを書き出し、それだけを並べてください。10個もあれば十分です。足りないものは、使いながら足していきます。
パスワードが必要なページのリンクを置くこと自体は問題ありませんが、リンクの横にIDやパスワードをメモしないでください。一覧は画面に出したまま離席しやすい場所です。
最後に、リンク集を増やしても、業務システムそのものが多すぎる問題は解決しません。同じデータを何回も入力している状態なら、入口を整理するより先に、そちらを見直すほうが効果があります。
まとめ
入口を一か所に決め、週に1回以上使うものだけを20個から30個置きます。分類は頻度か業務種類のどちらかで、階層は2段までです。会社の一覧と個人の一覧は分け、会社の一覧には更新担当を決めます。四半期に1回、10分だけ見直して減らします。