- 黒い図形を重ねることと、情報を削除する墨消しの違い
- 墨消しの「指定・適用・保存」を分けて考える理由
- 送る前に開き直して確かめる項目
結論
外部に渡すPDFで、名前や番号を黒く塗って隠すことがあります。ただし、黒い四角を上に重ねただけでは、下にある文字や画像がファイルの中に残っている場合があります。渡したくない情報があるときは、見た目を隠す操作ではなく、文字や画像そのものを削除する「墨消し」の機能を使い、保存したファイルを開き直して確かめます。
「隠す」と「消す」は別の操作
PDFファイルは、文字、画像、図形、コメントなどが重なってできています。図形や注釈のツールで黒い四角を置くのは、紙の上に黒い紙を一枚かぶせるのに近い操作で、下の文字はそのまま残ります。画面では見えなくても、文字を選んでコピーできたり、検索で見つかったりすることがあります。
画面や書類の一部を伏せることをマスキングと呼びますが、見た目だけのマスキングでは中身は消えていません。墨消しは、指定した範囲の文字や画像をファイルから取り除く機能です。名前や手順はPDFソフトによって違い、墨消しの機能が無いソフトもあります。
指定・適用・保存を分けて考える
Adobe Acrobat Pro の場合、墨消しは大きく三つの段階に分かれます。
- 消したい文字や画像を選んで指定する(この時点では印を付けただけ)
- 「適用」を選び、確認の画面に答えて削除を確定する
- 墨消しの済んだファイルを保存する
Adobeの解説では、適用すると元のファイルは変わらず、ファイル名に「_Redacted」が付いた別のPDFが作られる流れが紹介されています。指定だけして送ってしまう、適用したのに保存していない、といった途中の状態に気をつけます。ほかのソフトでも、どの操作で確定するのかを先に確かめておくと迷いません。
文字を選んでコピーできたり、検索で見つかったりすることがあります。
指定しただけでは、まだ印を付けた状態です。適用と保存まで済ませます。
本文の外に残る情報
見えている本文を消しても、ファイルにはほかの情報が入っていることがあります。
Adobe Acrobat Pro には「文書の非表示情報を削除」という機能があり、メタデータやコメント、非表示レイヤーなどを、まとめて、または項目を選んで削除できます。
例えば、参加者名簿のPDFで氏名の列を墨消ししても、作業中に付けた「Aさんは欠席」というコメントや、元の表計算ファイルの添付が残っていれば、相手に氏名が伝わります。
送る前の確かめ方
加工したファイルは、原本と別の名前で保存します。原本を上書きすると、やり直しも、何を消したかの確認もできなくなります。
保存した後は、一度閉じて開き直します。そのうえで、消した言葉で文字検索をする、消した辺りの文字を選んでコピーしてみる、コメントと添付の一覧を開く、といった確認を補助として使います。ただし、検索で見つからないことは、完全に削除できた証明にはなりません。ソフトが示す確定までの手順を、最後まで済ませたかを確かめるのが先です。
業務上の機密情報を含む文書は、社内の許可なくオンラインの変換・編集サービスにアップロードしないでください。墨消しのために外部へ送ること自体が、情報を渡すことになる場合があります。
まとめ
黒く見えることと、情報が消えていることは別です。墨消しの機能で確定し、本文の外に残る情報も確かめてから送ります。
確認リスト
- 黒い図形ではなく、情報を削除する墨消しの機能を使った
- 指定だけでなく、適用まで済ませて保存した
- コメント、添付、メタデータ、非表示の情報を確かめた
- 加工したファイルを原本と別の名前で保存した
- 保存後に開き直し、検索やコピーで補助的に確かめた
今日、まず確認すること
いつも使っているPDFソフトに、見た目を隠すだけでなく情報を削除する墨消しの機能があるかを確認してください。