AI・テクノロジー

AIで総務・経理の仕事はどこまで自動化できる?作業ごとに仕分ける

総務・経理の仕事をAIに任せられるかは、業務の名前ではなく作業ごとに決めます。下書き・読み取り・候補出しは任せやすく、金額の確定・支払い・法令の判断は人に残します。作業ごとの仕分け表と、任せる前に決めることを説明します。

最終確認 2026.10.20約3分で読めます

この記事で分かること
  • 業務を「下書きを任せる・人が確かめる・人が決める」に分ける考え方
  • 総務・経理の作業ごとの仕分け表
  • 任せる前に決めておく、確認する人・入力してよい情報・記録

結論

総務・経理の仕事は、「経理はAIで自動化できるか」と業務の名前で考えると答えが出ません。一つの業務を作業に分けると、AIに任せやすい部分と人に残す部分がはっきりします。目安は、下書き・分類・読み取り・候補出しはAIに任せやすく、金額の確定、支払い、法令の判断、外部への送付は人が決める、という分け方です。

作業を3つに分けて考える

ここでの自動化は、人が手で行っていた作業を仕組みに任せることを指します。総務・経理のようなバックオフィスの作業は、次の3つに分けると整理しやすくなります。

  • AIに下書きを任せる:文章の下書き、書類の分類、項目の読み取り、組み合わせの候補出し
  • 人が確かめる:AIが出した結果を、元の書類や規程と照らし合わせる
  • 人が決める:金額や科目の確定、支払いの実行、規程や法令の解釈、社外への送付

AIの出力は、もっともらしく見えても誤りが混ざることがあります。そのため、間違えたときに取り返しがつきにくい作業ほど「人が決める」側に置きます。

総務・経理の作業を3つに分ける

AIに下書きを任せる
  • 文章の下書き
  • 書類の分類・項目の読み取り
  • 組み合わせの候補出し
人が確かめる
  • AIの結果を元の書類と照らす
  • 規程と照らす
人が決める
  • 金額・科目の確定
  • 支払いの実行
  • 法令の解釈・社外への送付
間違えたときに取り返しがつきにくい作業ほど、「人が決める」側に置きます。

総務・経理の作業を仕分ける

例えば、従業員10人ほどの会社で総務と経理を1人が兼ねているとします。よくある作業を仕分けると、次のようになります。表は考え方の例で、すべての会社に当てはまるものではありません。

作業AIに任せやすい部分人が確かめる・決める部分
請求書の受け取りAI OCRによる取引先・日付・金額の読み取り読み取った金額と原本の照合
仕訳の入力勘定科目の候補を出す科目の確定、迷う取引の判断
入金の消込入金と請求の組み合わせの候補を出す金額が合わないものの判断と確定
経費精算領収書の読み取り、規程と合わない可能性の印付け承認、規程の解釈
社内の案内文文章の下書き日付・手順の確認、出す判断
社内からの質問規程を元にした回答の下書き規程に書いていない質問への回答
支払い支払予定の一覧づくり支払いの承認と実行

AIによる文字の読み取り(AI OCR)や仕訳の候補出しは、件数が多いほど手間を減らせます。一方で、支払いは一覧づくりまでに留め、承認と実行は人が行います。入金と請求の突き合わせ(消込)も、ぴったり合わないものこそ人の判断が要ります。

任せる前に決めておくこと

総務省・経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、AIを業務で使う側に対して、出力の精度やリスクの程度を理解したうえで使うこと、個人情報や機密情報を不適切に入力しないよう注意することを挙げています。社内で始める前に、次の3つを決めておきます。

  1. 作業ごとに、人の確認をするのは誰か
  2. AIに入力してよい情報と、入力しない情報(給与・個人の住所など)
  3. AIが出した案と、人が直した結果をどこに残すか

帳簿や書類をデータで保存する場合の要件は、ここでは触れません。電子取引のデータの保存などは、国税庁の「電子帳簿保存法関係」の案内で確かめてください。

まとめ

確認リスト

  • 業務を作業に分けて書き出したか
  • 作業ごとに「下書きを任せる・人が確かめる・人が決める」を決めたか
  • 支払いと金額の確定を、人が決める側に置いたか
  • 確認する人を作業ごとに決めたか
  • 入力してよい情報と入力しない情報を分けたか

今日、まず確認すること

自分の担当業務を5つ書き出し、それぞれを「AIに下書きを任せる」「人が確かめる」「人が決める」のどれかに分けてみてください。