- 広告の表示をきっかけにするAdFection攻撃の仕組み
- 広告との接触・攻撃の試行・実際の感染を分けて考える理由
- 更新、広告や追跡の制限、DNSによる保護を組み合わせる方法
結論
「怪しいリンクをクリックしない」。インターネットを安全に使うために、意識している方も多いはずです。しかし、利用者のクリックを必要としない攻撃もあります。
2026年10月15日、トロント大学の研究機関Citizen Labは、標的型のオンライン広告を通じてスパイウェアを感染させる「AdFection」の調査を公表しました。広告を表示する仕組みが攻撃に悪用され、Al Jazeeraの端末が感染し、そのスパイウェアはCandiruのものと高い確度で判断できると報告しています。
日常の対策では、OSやブラウザの更新に加え、広告や追跡への接触を減らすことを組み合わせましょう。
AdFection攻撃の仕組み
オンライン広告には、画像や動画だけでなく、表示の計測などに使うプログラムが含まれることがあります。AdFectionは、この配信経路を悪用し、選ばれた端末へ攻撃コードを届ける手法です。端末の脆弱性を突かれると、広告をクリックしなくても感染につながります。
ただし、広告の表示がすべて感染を意味するわけではありません。Citizen Labは、IPアドレスや広告の識別情報などをもとに配信対象を選ぶ仕組みを報告しています。広告との接触、攻撃の試行、実際の感染は、分けて考える必要があります。
広告との接触、攻撃の試行、実際の感染は分けて考えます。広告の表示がすべて感染を意味するわけではありません。
どれか一つで防げるわけではありません。更新を土台に、層を重ねます。
正規の広告配信経路でも注意が必要な理由
普段利用しているサイトやアプリにも、外部事業者を通じて広告が届きます。サイト自体への信頼だけでは、広告に関わるすべての配信先の安全性までは判断できません。
同日に公表されたセキュリティ企業Confiantの調査は、広告技術が端末の識別や情報収集、選別した相手へのコード配信に悪用される仕組みを分析しています。これは、広告を通じた追跡と、脆弱性を突く攻撃がつながり得ることを示すものです。ただし、追跡が行われたことだけで、スパイウェア感染を断定することはできません。Confiantも、攻撃の全体は捉えていないとしています。
今日から見直したい対策
OSとブラウザの更新を確認する
まず確認したいのは、更新が保留になっていないかです。自動更新を有効にしていても、適用に再起動が必要な場合があります。例えばパソコン版Chromeでは、「Google Chromeについて」で更新を確認し、案内に従って再起動します。
OSや普段使うアプリも、各社の公式手順で更新してください。更新は既知の問題への対処であり、未知の脆弱性を含むすべての攻撃への保証ではありません。
広告や追跡の読み込みを減らす
ブラウザの広告・追跡防止機能を見直すことも、攻撃経路を減らすための選択肢です。Citizen Labも、広告ブロックと追跡防止を対策として挙げています。
導入する際は、公式の配布元と要求される権限を確認しましょう。業務サイトなどで不具合が起きた場合は、必要なサイトごとに設定を確認し、例外を広げすぎない運用を勧めます。
DNSによる保護は追加の防御として使う
DNSは、サイト名から接続先を調べる仕組みです。広告や追跡用のドメインへの問い合わせを遮断するサービスを利用すると、そのドメインへの接続を一部抑えられます。例えばAdGuard DNSは、広告やトラッカーを遮断する公開DNSを提供しています。同じような機能のサービスはほかにもあります。APOULと提供元に提携や金銭の関係はありません。
ただし、DNSの設定だけで、すべての通信を保護できるわけではありません。Confiantは、暗号化されたDNSで接続先を調べ、IPアドレスへ直接接続する動きも報告しています。DNSによる保護は、端末の更新やほかの防御に追加する層として考えましょう。
DNSを変更する場合は、提供元の方針や会社のネットワーク規則を確認し、問題が起きたときに元へ戻せるようにしておきます。
高度な標的型攻撃のリスクがある場合は追加保護を検討する
取材や活動内容などから高度な攻撃の標的となる可能性がある方は、専門家への相談や、Apple製品のロックダウンモードも検討できます。この機能は、一部のアプリやWeb機能を制限して攻撃される範囲を減らすもので、日常の使い勝手にも影響します。利用条件と制限を確認したうえで判断してください。
組織では検知と復旧まで備える
組織の対策としてAPOULが重視するのは、通信先の照合に加え、不審なプログラムの動作、再起動後も動き続けるための設定変更などを関連付けて調べられる体制です。
同時に、誤検知で業務を止めない配慮も必要です。何を根拠に警告したのか、遮断する範囲はどこか、解除するにはどうするか。この判断と操作の記録を残し、復旧できる状態を整えることを勧めます。
本記事は2026年10月19日時点の公開情報に基づきます。設定方法や利用できる機能は、OSやアプリのバージョンによって異なります。
確認リスト
- OSとブラウザの更新が、再起動待ちのまま保留になっていない
- 普段使うアプリも公式の手順で更新している
- ブラウザの広告・追跡防止の設定を見直し、例外を広げすぎていない
- DNSを変える場合は、提供元の方針と会社の規則を確認し、元に戻す方法を控えている
- 組織では、警告の根拠・遮断の範囲・解除の方法を記録に残している
今日、まず確認すること
お使いの端末でOSとブラウザの更新状況を確認し、広告・追跡に関する設定を見直す。