- 「コピーできた」と「仕事を再開できる」の違い
- どこまで戻れば仕事を続けられるかを決める2つの質問
- 本番を壊さずに復元を試す方法と、記録する項目
結論
「毎日バックアップしているので大丈夫」。そう考えていても、実際にシステムが止まったとき、必要なデータを取り出し、仕事を再開できるとは限りません。
確認したいのは、バックアップが存在するかだけでなく、必要な時点のデータを、必要な時間内に戻せるかです。
最近の公式資料が伝えていること
IPAは2026年9月8日、経営者向けのランサムウェア対策ハンドブックを公開し、10日に更新しました。被害を受けた国内の組織への聞き取りを基に、経営者の関与や業務継続、持ち出されたデータへの備えなどの教訓をまとめています。
現在の侵入型ランサムウェア攻撃では、データの暗号化に加え、持ち出した情報を使った脅迫も問題になります。つまり、データを戻せても、情報の持ち出しに関する調査や対応が必要になる場合があります。
「コピーできた」と「仕事を再開できる」は違う
次は架空の例です。
毎晩、受注データをバックアップしている会社があります。ファイルは戻せましたが、データベースやアプリの設定が不足し、受注システムとして使える状態に戻りませんでした。
業務を再開するには、データだけでなく、アプリ、設定、接続先、必要な認証情報なども関係します。認証情報は適切に保護し、復旧時に誰が利用できるかを決めておく必要があります。
データだけでなく、アプリ・設定・接続先・認証情報なども関係します。
例えば、毎日一回のバックアップでは、その後に登録した注文は含まれない可能性があります。
どこまで戻れば、仕事を続けられる?
二つの質問に答えてみましょう。
- 何時間・何日前までのデータなら、失っても業務を立て直せるか。
- システムが何時間止まると、大きな支障が出るか。
例えば、毎日一回のバックアップでは、その後に登録した注文が含まれない可能性があります。復旧に二日かかるなら、その間の受付や連絡をどう進めるかも考えます。
この条件は、システム担当者だけで決めるより、実際に仕事をする担当者と確認すると具体的になります。
本番を壊さず、復元を試す
バックアップの確認は、隔離した検証環境など、本番に影響しない場所で行います。重要な原本へ試しに上書きする方法は避けます。
最初は代表的なデータを選び、内容を確認するところから始められます。ただし、ファイルが一つ開けたことと、システム全体を復旧できることは別です。確認記録には、対象、バックアップ日時、復元にかかった時間、確認できた内容、残った課題を記載します。
また、攻撃を受けた環境へすぐ戻すと、再び影響を受けるおそれがあります。事故後の復旧は、侵害範囲や復旧先の安全性を確認しながら進める必要があります。
止まっている間の仕事も準備する
受注、請求、配送、顧客連絡のうち、何を続け、何を止めるか。代わりの記録方法、連絡手段、判断する人を決めておきます。
代替の連絡先や手順は、停止したシステムの中だけに保存しないことも大切です。
復元確認の記録例
| 項目 | 記録する内容 |
|---|---|
| 対象 | データ・アプリ・設定の範囲 |
| 戻せる時点 | バックアップの取得日時 |
| 所要時間 | 復元開始から利用確認まで |
| 確認結果 | 内容や動作を確認できた範囲 |
| 未確認事項 | 不足した設定・依存先など |
| 担当者 | 実施者と、次の対応を決める人 |
確認リスト
- 何時間・何日前までのデータなら失っても立て直せるかを、業務の担当者と決めた
- データだけでなく、アプリ・設定・接続先も戻せるかを確かめた
- 本番に影響しない場所で復元を試し、所要時間と結果を記録した
- 止まっている間の記録方法・連絡手段・判断する人を決めた
- 代替の連絡先や手順を、止まるシステムの外にも置いた
今日、まず確認すること
最後に復元を試した日時と、その確認記録があるかを確かめる。