総務・経理

OCRの精度が落ちる7つの原因と、スキャン設定の直し方

OCRの読み取りが合わないときに見る場所は、解像度・傾き・影・手書き・表・小さい文字・PDFの圧縮の7つです。複合機やスキャナの設定をどう変えれば改善するのかを、見直す順番とあわせて実務の目線で説明します。

最終確認 2026.10.24約5分で読めます

この記事で分かること
  • OCRの精度がソフトより元の画像で決まる理由
  • 読み取りの精度が落ちる7つの原因
  • スキャン設定を1つずつ見直す順番
  • 手書きや小さい文字で対象を絞る考え方

結論

OCRの読み取りが合わないとき、原因はソフトよりも先に元の画像にあることがほとんどです。解像度・傾き・影・手書き・表・小さい文字・PDFの圧縮、この7か所を順に見ていくと、多くはスキャン設定の変更だけで改善します。精度は書類の状態によって変わるため、同じ設定にすればどの書類も同じ結果になる、という性質のものではありません。

なぜ元の画像で決まるのか

OCRは、画像の中の濃い点の並びを文字の形として見分けています。点の数が足りない、形がゆがんでいる、背景と文字の濃さの差が小さい。このどれかが起きていると、人の目には読めても機械には別の文字に見えます。

「ソフトを変えたのに直らない」という相談の多くは、元の画像が前と同じままです。読み取り結果を手で直す前に、スキャンをやり直したほうが早く終わる場面は少なくありません。

精度が落ちる7つの原因

1. 解像度が足りない

複合機の初期値が200dpiのままになっていることがあります。まずは300dpiに上げます。9ポイント以下の文字が多い書類や、数字を1桁ずつ拾いたい書類は400dpiにします。高くするほどよいわけではなく、600dpiにするとファイルが重くなり、読み取りにかかる時間も伸びます。

2. 原稿が傾いている

自動原稿送り(ADF)に少し斜めに入っただけで、行が階段状にずれます。ホチキスの跡や折り目が残った紙は特に傾きます。ガイドを紙の幅に合わせ、10枚ほどずつに分けて流します。スキャナ側に「傾き補正」「原稿の向きの自動検知」があれば有効にしてください。

3. 影とムラが入っている

冊子をガラス面に押し付けて取ると、とじ目に黒い帯が入ります。スマートフォンで撮る場合は、手や体の影が紙の上に落ちます。冊子は見開きではなく片ページずつ、撮影なら真上から、照明を背にしない位置で撮ります。「地色除去」「背景除去」を有効にすると、紙の黄ばみや裏写りが薄くなります。

4. 手書きが混ざっている

活字と手書きでは難しさが違います。手書きの住所や備考まで全部拾おうとせず、日付・数量・金額のように書き方が決まっている欄だけを対象にします。これから作る書類なら、枠が一文字ずつ区切られた用紙に変えるだけでも結果が変わります。

5. 表の罫線が文字に接している

セルの幅が狭くて文字が罫線に触れていると、罫線を文字の一部として拾います。結合セルの多い表も、行と列の対応が崩れます。読み取りたいのが表の一部分なら、その範囲だけを切り出してから読み取るほうが、崩れにくくなります。

6. 文字が小さい

契約書の但し書き、注釈、欄外の記号は、本文より2〜3ポイント小さいことがあります。この部分だけ解像度を上げて取り直すか、拡大コピーを取ってから読み取ります。1枚の中で文字の大きさが混ざっている書類は、一度で全部を拾おうとしないほうが早く終わります。

7. PDFが強く圧縮されている

複合機の「高圧縮PDF」「小さいファイルサイズ」を選ぶと、文字の輪郭が崩れた状態で保存されます。メール添付のために選んだ設定が、あとからOCRの邪魔をします。OCRに回す原本は圧縮を弱め、共有用の軽いPDFは別に作ります。

注意
圧縮で失われた情報は、あとから画像処理で元に戻せません。保管用と送信用の保存設定は分けて決めてください。

見直す順番

原因を一度に全部つぶそうとすると、何が効いたのか分からなくなります。上から順に1つずつ変えて、そのつど同じ1枚で試すのが早道です。

順番見るところ変える設定
1ファイルが極端に軽い圧縮を弱める
2文字がぼやけている解像度を300〜400dpiに
3行が斜めになるガイドを合わせる・傾き補正
4背景が暗い・裏写りする地色除去・グレースケール(保存用の原本は国税庁の要件を確認)
5それでも合わない範囲を区切る・取り直す

実務ではこうなる

例えば、10人ほどの設計事務所が、現場の検査記録を紙で受け取り、あとから物件番号で探せるようにしたいとします。最初のスキャンは200dpiの高圧縮PDFで、A3の記録用紙を見開きのまま取り込んだものだとします。この状態では、日付の数字がほとんど拾えません。

設定を300dpi・圧縮弱め・片ページずつに変え、手書きの所見欄は読み取りの対象から外します。こうすると、拾えないのは手書き部分に絞られ、日付と物件番号で絞り込みやすくなります。

ここがポイント
すべてを読み取ろうとせず、「探すために要る項目」だけに絞ると、作業が現実的な時間に収まります。

注意点

読み取り結果をそのまま台帳に流し込むと、誤りに気づくのが数か月後になります。金額・日付・取引先のように後で効いてくる項目は、人が目で確かめる工程を残してください。

保存した書類を制度上の記録として扱う場合、解像度や色の階調に関する要件が別にあり、請求書などではグレースケールが認められないことがあります。ここでは触れません。国税庁の案内を確認してください。

古い感熱紙のレシートや、印字が薄れた控えは、設定を変えても読み取れないことがあります。読めないものを無理に通すより、その分だけ手入力に回すと決めたほうが、全体は早く終わります。

まとめ

  • 原因の多くはソフトではなく元の画像にあります。
  • 圧縮・解像度・傾き・背景の順に、1つずつ変えて試します。
  • 手書きや小さい文字は、対象を絞ると結果が安定します。
  • 読み取り結果を人が確かめる工程は残してください。
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