- 「しわ寄せ」防止キャンペーン月間で何が行われるか
- リーフレットが示す取引上の注意
- 発注する側が社内で見直すこと
- 受ける側が見積もりと記録で守れること
- 相談先
結論
厚生労働省は10月30日、中小企業庁・公正取引委員会と連携して、11月を「『しわ寄せ』防止キャンペーン月間」にすると発表しました。ポスターやリーフレットでの周知、業界を所管する省庁や都道府県・労使団体への協力の依頼、しわ寄せを生じさせるおそれのある大企業などへの都道府県労働局の訪問・要請を集中して行うとしています。
ここで言う「しわ寄せ」は、発注する会社が自社の長時間労働を減らす一方で、適正なコストを負担しない短納期の発注や急な仕様変更を取引先に回してしまうことです。この月間に合わせて、発注する側は頼み方を、受ける側は受け方を一度見直すのが現実的な対応です。
何が問題とされているか
発表は、大企業の働き方改革が取引先の中小事業者へのしわ寄せを生んでいる場合があるとし、工事の民間発注者による短い工期や、荷主による長時間の荷待ちの慣行も例に挙げています。
リーフレットは、労働時間等設定改善法の考え方として、納期を適正にする、発注内容の頻繁な変更を控える、発注の方法を改善する、の3つを示しています。あわせて、受託中小企業の振興のための「振興基準」から、場面ごとの考え方を紹介しています。
| 場面 | リーフレットが示す考え方 |
|---|---|
| 労務費・原材料費・エネルギーのコストが上がった | 労務費の指針を使い、上昇分を適切に転嫁できるよう協議する |
| やむを得ず短期の発注や急な仕様変更をする | 残業代などのコストは委託する側が負担する |
| 発注内容を変える | 不当なやり直しが起きないよう配慮し、長期の発注計画を示すなどで発注を安定させる |
働き方改革を妨げる取引の例としては、無理な短納期の発注で納期が遅れたことを理由にした受け取りの拒否や減額、過度に短い時間指定の配送、コスト負担のない多頻度・小口の配送が挙がっています。
発注する側が見直すこと
しわ寄せは、社内の承認や仕様の確定の遅れが外に押し出されて起きることが多いものです。社内が遅れたら社内の日程を詰め、取引先の作業期間は削らない、という順番を先に決めておきます。急ぎがどうしても必要なときは、依頼の時点で追加の費用をこちらで持つことを書き、見積もりを求めます。仕様変更は受け付ける最終日を発注時に決め、変更の連絡は日付と内容を文書で残します。
確認リスト
- 直近3か月で、依頼から納期まで3営業日を切った発注が何件あり、原因は何だったか
- 短納期・休日対応の追加費用を、依頼の時点で示しているか
- 仕様変更の受付の締め切りを、発注書や依頼メールに書いているか
受ける側ができること
断ることは簡単ではありませんが、守れる範囲はあります。一つは、いつ、誰から、どんな変更を受けたかを案件ごとに日付順で残すことです。もう一つは、通常の納期と急ぎの納期を分け、急ぎにかかる費用を最初から見積書に書いておくことです。急ぎの依頼には、追加費用の額と通常の工程での納期を並べて返すと、相手が急ぎかどうかを改めて判断するきっかけになります。
相談先
リーフレットは、中小企業・小規模事業者・フリーランスの取引の相談先として「取引かけこみ寺」(0120-418-618、平日9時〜12時・13時〜17時、相談無料・匿名可)を案内しています。11月は過労死等防止啓発月間でもあり、11月7日(土)9時〜17時には「過重労働解消相談ダイヤル」(0120-794-713)が設けられました(この日の受付は終わっています)。ほかの日は労働基準監督署や労働条件相談ほっとライン(0120-811-610)で相談できます。
取引の内容によっては、取適法など別の法律の対象になることもあります。当てはまるかどうかは公正取引委員会の案内で確かめてください。この記事は一般的な説明で、個別の法律の助言ではありません。
今日、まず確認すること
直近1か月の発注か受注の中から、依頼から納期までが3営業日を切ったものを数え、その原因を一つずつ書き出してください。