人材・働き方

残業が増えてきたら「人手不足のサイン」かもしれない

残業が続くのは一時的な繁忙だけとは限りません。人手の不足や、特定の人への仕事の偏りのサインのこともあります。勤怠の記録から見分ける方法、時間外労働の上限、人と業務の両面から見直す手順を整理します。

最終確認 2026.11.07制度状況:現行約5分で読めます

この記事で分かること
  • 一時的な繁忙と人手不足を記録で見分ける方法
  • 残業が毎月の仕事量になる3つの理由
  • 時間外労働の上限と月の途中の確かめ方
  • 採用と並行して仕事を分ける進め方

結論

残業が増えているとき、それが繁忙期だけの一時的なものか、人手や仕事の配り方が合っていないことの表れかは、勤怠の記録を月ごとに並べると見分けやすくなります。繁忙期が過ぎても残業が戻らない、同じ人ばかりが残っている、という状態が続くなら、人員と業務の両方を見直す時期です。長引くほど、今いる人の負担が次の離職につながりやすくなります。

「少し忙しいだけ」と見過ごしていませんか

残業は少しずつ増えるため、現場では気づきにくいものです。先月より1日30分多いだけなら、「今月は立て込んでいる」で済んでしまいます。ところが、それが3か月、半年と続くと、その時間はもう一時的なものではなく、毎月の仕事量の一部になっています。

見分けるには、感覚ではなく記録を使います。勤怠から、次の3つを月ごとに並べてみてください。

  • 部署や持ち場ごとの残業時間の合計
  • 残業が多い上位の数人と、その人たちの残業時間
  • 繁忙期の前後で、残業時間が元の水準に戻っているか

繁忙期が終わっても残業が戻らないなら、仕事の量に対して人が足りていないか、仕事の配り方が偏っている可能性があります。Excelで勤怠を集計していて、この並べ替えに毎回手間がかかる場合は、Excel勤怠を見直すコラムも参考にしてください。

残業が常態化する3つの理由

1. 人が減ったのに、仕事の量が変わっていない

退職や休職で1人減ったとき、その人の仕事を残った人で分けて持つことがあります。当面の対応としては自然ですが、補充のないまま時間が過ぎると、分けて持った分がそのまま残業として残ります。

2. 特定の人に仕事が集まっている

その作業ができる人が1人しかいないと、忙しい時期にはその人の残業だけが増えます。部署全体の合計では目立たなくても、人ごとに並べると偏りがはっきり出ます。

3. 仕事そのものが少しずつ増えている

取引先や品目が増えた、確認や記録の手間が増えた、というように、仕事は少しずつ足されていきます。何かを足したときに何かを減らす判断がされていないと、その差は残業で埋まります。

時間外労働には上限がある

残業には法律の上限があります。厚生労働省の説明によると、36協定で定める時間外労働は、原則として月45時間・年360時間までです。臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)に収める必要があります。中小企業には2020年4月から適用されています。建設の事業、自動車の運転の業務、医師などは、5年間の猶予のあと2024年4月から上限規制が適用されていますが、上限の中身は一般の業種と異なります。

上限に近づいてから対策を考えると、選べる手が限られます。月45時間を目安に、それに近づいている人がいないかを月の途中で確かめておくと、締めてから気づくことを避けられます。残業代の計算の区分は残業代の計算のコラムで整理しています。自社の協定の内容や個別の判断は、社会保険労務士や労働基準監督署に確認してください。

今いる社員への負担が次の離職を生む

残業が続く状態は、まず今いる人の疲れとして表れます。仕事が集まっている人ほど休みを取りにくく、その人が辞めると、今度は残った人にさらに仕事が集まります。新しく入った人も、教わる時間が取れないまま忙しい現場に立つことになり、定着しにくくなります。この流れについては採用後の定着のコラムでも触れています。

人員と業務の両方から見直す

採用の準備を始めても、人が入り、仕事を任せられるようになるまでには時間がかかります。その間も残業は続くため、採用と並行して、今の仕事の側でできることを進めます。

  • 残業の多い人の仕事を書き出し、他の人に渡せるものを分ける
  • 手順が決まっている作業から、手順と判断の基準を1枚にまとめる
  • やめられる作業、回数を減らせる確認がないかを洗い出す

たとえば、倉庫で出荷作業の残業が続いている場面を考えます。記録を見ると、残業の多くは夕方の出荷前の検品に集まっていて、検品の判断ができる人が2人しかいない、と分かったとします。この場合、人を1人増やしても、その人が判断できるようになるまでは残業は減りません。一方で、検品の基準を紙にまとめ、判断の要らない部分を別の人に渡せば、今の人数でも夕方の負担を分けられる可能性があります。

外部に仕事の一部を頼む方法もありますが、どの方法を取るにしても、何をどこまで頼むのかが決まっていなければ活かせません。人を増やすか、仕事を分けるかは、どちらか一方ではなく、記録から「どこで」「誰に」残業が集まっているかを見てから決めます。

まとめ

残業の増加は、一時的な繁忙のこともあれば、人手の不足や仕事の偏りのこともあります。勤怠の記録を月ごと・人ごとに並べ、繁忙期のあとに元の水準へ戻っているかを確かめてください。時間外労働には原則月45時間・年360時間の上限があり、中小企業にも適用されています。採用を進めるときも、今の仕事の切り分けを並行して進めると、負担が特定の人に集まり続けることを避けやすくなります。

業務の切り分けや、勤怠の記録の整え方は、APOULのご相談でも扱います(2026年11月1日から受付中)。労務の判断が必要な点は、社会保険労務士にご相談ください。

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