業務改善

「その人しか分からない」業務を減らす最初の5つ

担当者が休むと止まる業務を減らすために、最初にやることを5つに絞って説明します。手順書の書き方、ファイルの置き場所、共有アカウントをやめる、権限と作業履歴、代わりの担当者の決め方までを実務の順に並べます。

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この記事で分かること
  • 属人化が丁寧な人のところで起きる理由
  • 属人化を減らす最初の5つの手順
  • 手順書に書き切れない判断の残し方
  • 手順書を増やしすぎないための線引き

結論

属人化を一度になくすことはできません。最初にやることは5つに絞ります。手順書を1枚だけ作る、ファイルの置き場所を決める、共有アカウントをやめる、権限と作業履歴を整える、代わりの担当者に一度やってもらう、の5つです。

この順番には理由があります。手順書がないと置き場所も決められず、置き場所が決まっていないと権限も決められません。上から順に進めてください。

なぜ属人化するのか

悪意で起きることはまずありません。多くは、その人が一番早くできるからそのまま任され、任された人が改善したことが本人の中だけに溜まっていく、という流れで起きます。仕事が丁寧な人ほどこうなります。

もうひとつは、聞けば済むからです。手順を書くより、隣の席で聞いたほうが早い時期が続くと、書かれないまま数年が過ぎます。その状態は、担当者が休んだ日に一度に表に出ます。急に引き継ぐことになった場面では、当人も説明しきれません。

最初の5つ

1. 手順書を1枚だけ作る

網羅しようとすると終わりません。まず、止まると困る作業を1つだけ選び、A4で1枚に収めます。書くのは次の4点です。

  • いつ始めるか(毎月何日、何が届いたら)
  • 何を開くか(ファイル名と置き場所、使うサービス)
  • 手順(番号付きで、画面の名前をそのまま書く)
  • 終わったと判断する条件

コツは、担当者本人に書いてもらわず、別の人が本人に聞きながら書くことです。本人が書くと、当たり前になっている前提が抜けます。

2. ファイルの置き場所を決める

手順書に「デスクトップの最新版」と書かれている状態では引き継げません。作業に使うファイルは、本人の端末ではなく共有の場所に置き、手順書にはその場所を書きます。

置き場所を変える範囲は、手順書に出てくるファイルだけに限ります。全社のフォルダ整理を同時に始めると、そちらで止まります。

3. アカウントの共有をやめる

同じIDとパスワードを何人かで使い回している状態は、属人化とは逆に見えて、実は引き継ぎを難しくします。誰が何をしたか分からないため、手順の確認も、間違いの原因の追跡もできません。

1人1アカウントにして、必要な人にだけ権限を付けます。共有をやめられない理由が費用なら、その作業を担当する人を絞るほうが先です。

注意
引き継ぎのときにパスワードをメールやチャットで送らないでください。送った記録が残り続けます。渡し方は口頭や別の手段を使い、引き継ぎ後に変更してください。

4. 権限と作業履歴を整える

権限は「その作業に必要な範囲だけ」にします。代わりの担当者を決めるとき、権限がないせいで作業ができないと、結局その人しかできない状態に戻ります。

あわせて、誰がいつ何をしたかが後から分かる状態にします。承認や修正の記録が残っていれば、手順書に書き切れなかった判断のパターンを後から読み取れます。記録の残し方は、使っているサービスの機能で足りることが多いです。

5. 代わりの担当者に一度やってもらう

ここまでやっても、実際に1回やってみるまでは穴が見つかりません。担当者が在席している日に、代わりの人が手順書だけを見て作業します。本人は横で見て、聞かれたことをその場で手順書に書き足します。

1回で完璧にする必要はありません。詰まった箇所が手順書の不足箇所です。

実務ではこうなる

5人の設計事務所で、請求書の発行と入金確認を1人が担当しているとします。

最初に選ぶのは「月初の請求書発行」です。手順書には、どの案件を対象にするかの判断(検収が終わっているか)と、社内の誰に確認するかを書きます。次に、請求書のひな形と過去分の保存先を共有の場所に移します。会計サービスのアカウントは個人ごとに分け、代わりの担当者には発行に必要な権限だけを付けます。翌月、その人が手順書を見ながら1件だけ発行します。

この流れで出てくる質問は、たいてい「この案件は今月の対象か」です。そこが手順書に書かれていない判断で、属人化の中身そのものです。作業の手順そのものより、こうした判断のほうが引き継ぎでは重くなります。

判断の書き方は、条件を並べるのではなく、過去の例を2つか3つ添える形が読みやすくなります。「検収書が届いていれば今月、届いていなければ翌月。ただし、この取引先は月末締めのため前月分をまとめる」といった書き方です。例があると、当てはまらない場面に出会ったときに、誰に聞けばいいかも判断できます。

やりすぎないために

すべての業務に手順書を作ろうとすると、更新されない文書が増えます。更新されない手順書は、間違った情報を引き継ぐぶんだけ害があります。

対象は「止まると困る」作業に限ってください。年に1回しかない作業は、手順書ではなく、次に発生したときに記録を残す、という形でも足ります。手順書は、変更があったときに直す人をあらかじめ決めておくと残ります。

ここがポイント
手順書を評価に使わないでください。書くと自分の仕事が奪われる、と受け取られた時点で、正確な手順は出てきません。

まとめ

属人化は、丁寧に仕事をする人のところに溜まります。手順書を1枚だけ作り、そこに出てくるファイルの置き場所を共有に移し、共有アカウントをやめ、必要な範囲の権限と作業履歴を整え、最後に代わりの人が1回やってみます。5つ終わったら、次に止まると困る作業をもう1つ選びます。この繰り返しが、一度に全部やろうとするより速く進みます。

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