- 「いない」ではなく「条件が合わない」理由
- 条件次第で力になる地域の働き手
- 会社の側で変えられる働き方の例
- 働き方を変える前にしておく3つの準備
結論
人手が集まらないとき、地域に働き手が「いない」とは限りません。働ける人はいても、勤務の時間や日数、仕事の範囲といった条件が合っていないことがあります。会社の側で仕事を切り分け、短い時間や限られた日数でも担当できる単位にすると、これまで求人の対象に入っていなかった人にも声をかけられるようになります。
ただし、それだけで人が集まると決まるわけではありません。会社にできるのは、条件が合う人を増やすための準備です。
「いない」のではなく「条件が合っていない」こともある
求人を出しても応募がないと、「この地域には人がいない」と考えがちです。けれども、求人の中身を見直すと、フルタイム・週5日・残業あり・幅広い作業を1人でこなせること、といった条件がそろって並んでいることがあります。
この条件をすべて満たせる人は、どの地域でも多くありません。一方で、「午前だけなら」「週3日なら」「力仕事でなければ」「前にやっていた仕事なら」働ける、という人は、条件を1つ外すだけで対象に入ってきます。
足りないのは人の数だけではなく、用意している仕事の形が1通りしかないこと、という場合もあります。
地域にはさまざまな働き手がいる
条件次第で力になってくれる人には、たとえば次のような人がいます。
- シニア:長く働いてきた経験があり、体力に合わせた時間や作業なら続けられる人
- 子育て中の人:送り迎えの時間を避ければ働ける人
- 短時間で働きたい人:介護や学業、別の仕事と両立したい人
- 経験のある人:以前に同じ業種で働いていて、いまは別の働き方をしている人
それぞれ、働ける時間も得意な作業も違います。シニアの方の働き方はシニア人材の記事で、子育て世代など短い時間で働く人については「8時間働ける人」だけを探さないで詳しく扱っています。
ここで大切なのは、全員に同じ働き方を求めないことです。「全員フルタイム」という前提を外すと、受け入れられる人の幅は広がります。
近くで働けることも、働く人にとっては大事な条件の1つです。通勤に時間がかからなければ、短い勤務でも続けやすくなります。地域の会社が、近くに住む人の都合に合わせた仕事の形を用意できれば、働く人は地域の中で仕事を見つけやすくなり、会社は近くの人に支えてもらいやすくなります。
会社の側で働き方を少し変える
大がかりな制度をつくる必要はありません。変えるのは、たとえば次のような点です。
- 始業と終業の時間を、1つではなく2〜3通り用意する
- 1日の仕事を「午前の作業」「午後の作業」に分け、半日だけの担当をつくる
- 力仕事と、検品・記録・準備のような作業を分けて募集する
- 繁忙期だけ、決まった曜日だけ、といった期間や曜日を区切った働き方を用意する
たとえば、製造の現場で、部品の供給・加工・検品・出荷の準備を1人の担当が通しで受け持っている場面を考えます。検品と出荷の準備を切り出して午前だけの仕事にすれば、送り迎えのある人や、長時間の立ち仕事が難しい人も候補に入ります。加工を受け持つ人は、その分を本来の作業に使えます。
変える前に、仕事を分けて記録する
働き方を変えるときにつまずきやすいのは、仕事の中身が決まっていないまま、時間だけを短くしてしまうことです。何をどこまでやれば交代してよいのかが決まっていないと、短時間の人が入っても、結局は長くいる人に仕事が戻ってきます。
先にしておきたいのは次の3つです。
- 業務を切り分ける:誰が・何を・どの順番でしているかを書き出し、区切れる場所を探す
- 勤怠を正しく記録する:始業・終業・休憩を人ごとに記録し、勤務の組み合わせが増えても把握できるようにする
- 引き継ぎの形を決める:交代するときに伝えること(終わった作業、途中の作業、気をつけること)を決めておく
勤務の形が増えるほど、紙やExcelでの集計には手間がかかります。勤怠の記録を早めに整えておくと、あとで働き方を増やすときの負担が小さくなります。ベテランに集中している作業の分け方は、属人化の記事も参考にしてください。
注意したいこと
柔軟にすることと、何でも1人ずつ個別に合わせることは違います。人ごとに別の条件を約束していくと、シフトを組む人の負担が増え、条件の違いへの不満も生まれやすくなります。勤務の形は、会社として続けて用意できる数通りに絞るほうが長続きします。
また、働く時間や日数を変えると、労働時間の管理や社会保険などの扱いが変わることがあります。その判断はこの記事では扱いません。就業規則を変える前に、社会保険労務士に確認してください。
まとめ
人手が集まらない理由は、人がいないことだけではありません。働ける人がいても、条件が合っていないことがあります。仕事を切り分け、勤務の形を数通り用意し、勤怠と引き継ぎの記録を整えておくと、シニアや子育て中の人、短時間で働きたい人にも声をかけやすくなります。地域で働きたい人と地域の会社が、互いに続いていくための小さな準備です。
業務の切り分けや、勤怠・引き継ぎの記録の整え方は、APOULのご相談でも扱います(2026年11月1日から受付中)。採用や人員の手配は行っていません。労務の判断が必要な点は、社会保険労務士にご相談ください。