- 勤務時間の枠が応募を減らしている理由
- 前もって分かる休みと当日の休みの分け方
- 短時間勤務に向く業務と向きにくい業務
- 仕事を時間帯に合わせて組み直す手順
結論
フルタイムで働ける人だけを探していると、「9時から15時なら働ける」という人を、最初から候補から外すことになります。子育て中の人の中には、働く意欲はあっても、働ける時間帯が限られている人がいます。
人を時間に合わせるのではなく、仕事の側を時間帯に合わせて組み直すと、任せられる範囲が見えてきます。そのために、業務を「日中に区切って終えられるか」で分け、急な休みへの備えを先に決めておきます。
「8時間働ける人」だけを探していないか
求人を出しても応募が少ないとき、条件の欄を見直してみてください。「9時〜18時」「残業あり」と書かれていると、保育園や学校の送り迎えがある人は、仕事の中身を読む前に応募を見送ることがあります。
一方で、その仕事の中身を時間帯で並べてみると、夕方以降にしかできない作業は一部だけ、ということがあります。人が集まらない理由の一つが、勤務時間の枠の決め方にある場合です。時間の枠は、仕事の中身から逆算して決め直せます。
時間に制約がある人の働ける形
子育て中の人の制約には、たとえば次のようなものがあります。
- 朝の送りと夕方の迎えがあり、働けるのは日中の数時間
- 子どもの急な発熱などで、当日に休む日がある
- 学校の行事や長期の休みで、休みたい日が前もって分かる
2つ目と3つ目は性格が違います。前もって分かる休みは、予定として共有すれば段取りに組み込めます。当日の休みは、代わりに誰が何をするかを決めておくことでしか備えられません。この2つを分けて考えると、準備することがはっきりします。
短時間勤務に向いている業務・向きにくい業務
業務を1つずつ、次の点で見ていきます。
| 見る点 | 向いている | 向きにくい |
|---|---|---|
| 終わり方 | 途中で区切って渡せる | 最後まで1人で通さないと終わらない |
| 時間帯 | 日中に締め切りがある | 夕方の出荷締めや夜の対応が中心 |
| 手順 | 手順と判断の基準が決まっている | その都度の判断が多い |
| 相手 | 社内で完結する | 客先の都合で時間が読めない |
事務なら、受注の入力、書類の仕分けと保存、データの突き合わせは向いている側に入りやすい作業です。軽作業なら、検品、梱包、ラベル貼りなどがそうです。向きにくい側の作業は、いまの担当者が引き続き受け持ちます。
仕事の側を時間に合わせて組み直す
たとえば、5人の事務所で、受注の入力、メールとFAXの仕分け、電話の応対、夕方の請求書の締めを、フルタイムの担当者1人が抱えている場面を考えます。
1日の作業を時間帯で並べると、受注の入力と仕分けは午前から昼過ぎに集中していることが分かります。そこで、この2つを「9時半〜14時半」の枠に切り出し、短時間勤務として募集します。電話の応対と請求書の締めは、元の担当者が受け持ちます。
組み直すときは、次の3つを先に決めます。
- 14時半に、作業中の分を一覧にして渡す形(メモ1枚でよい)
- 当日に休みが出たとき、誰がどの作業を代わるか
- 行事などで休む予定を、どこに書いて共有するか
2つ目は、決めるだけでなく一度試しておきます。短時間の人が在席している日に、代わる予定の人が一覧とメモだけを見て受注の入力を数件やってみます。詰まったところが、渡し方の足りない部分です。3つ目は、紙の予定表でも共有のカレンダーでも構いませんが、全員が同じ場所を見ることが大切です。
出退勤の時間が人によって違うと、勤怠の記録と集計があいまいになりがちです。短い勤務でも同じ方法で記録してください。APOULが準備している勤怠も、こうした勤務の記録を扱うことを想定していますが、公開予定の段階です。
注意点
短時間で働く人を「いつでも代われる予備の人」として扱うと、切り出したはずの仕事の範囲がすぐにあいまいになります。任せる作業と任せない作業を、はっきり決めておいてください。
人が足りない日を、短時間の人の延長で埋める前提にもしないでください。延長が続くなら、業務の切り分けのほうを見直します。
反対に、短時間の人に同じ単純作業だけを固定し続けるのも避けたいところです。慣れてきたら、本人と相談して任せる範囲を少しずつ広げると、代わりの手が増え、職場全体が回りやすくなります。
この組み方は、子育て中の人に限らず、介護をしている人や、体力に配慮が必要な人にも使えます。年齢の面から考えた記事はシニア人材の活用です。育児に関する法律上の制度の要件は、ここでは触れません。社会保険労務士や厚生労働省の案内で確認してください。
まとめ
フルタイムだけを前提にすると、時間に制約のある人を候補から外すことになります。業務を「日中に区切って終えられるか」で分け、切り出した作業を時間の枠に合わせます。前もって分かる休みは予定として共有し、当日の休みには誰が代わるかを先に決めておきます。短い勤務でも、記録と引き継ぎの形は同じにそろえてください。
業務の切り分けや、勤怠・引き継ぎの記録の整え方は、APOULのご相談でも扱います(2026年11月1日から受付中)。労務の判断が必要な点は、社会保険労務士にご相談ください。