- 人が定着しない給与以外の5つの原因
- 現場に余裕がないと新人が育たない理由
- 採用と同時に整える受け入れの4つの準備
- 見直しを個人の評価と結びつけない理由
結論
採用しても人が定着しない原因は、給与や待遇だけではありません。教え方が決まっていない、仕事が一部の人に偏っている、聞ける相手がいない、聞いていた仕事と違う、現場に教える余裕がない、といった要因が重なって起きます。辞めるたびに求人を出し直す前に、新しい人を受け入れる側の段取りを見直すほうが、次の採用を無駄にしにくくなります。
「採用できたのに辞めてしまう」が続いていませんか
求人を出し、面接をして、ようやく入ってもらった人が数か月で辞める。これが何度か続くと、採用の手間と費用だけでなく、教えていた先輩の時間も失われます。しかも、辞めた理由が本人の口からはっきり語られることは多くありません。「一身上の都合」で終わると、会社の側には直す点が残らないまま、次の求人に進むことになります。
まずは、辞めた人に共通していた場面を書き出すところから始めます。入社して何週目に、どの作業を任されていたか。誰が教えていたか。その時期の残業はどうだったか。ここが分かれば、個人の相性の問題なのか、仕事の渡し方の問題なのかを分けて考えられます。
定着しない原因は給与だけではない
給与は大切な条件ですが、それだけで辞める理由を説明できることは多くありません。現場で起きやすいのは次のようなことです。
- 教育:教える人によって手順や説明が違い、何を覚えればよいか分からない
- 業務負荷:できる人に仕事が集まり、新しい人の面倒を見る時間がない
- 人間関係:質問してよい相手が決まっておらず、忙しそうで声をかけにくい
- 仕事内容のずれ:求人票や面接で聞いた仕事と、実際に任される仕事が違う
- 現場の余裕不足:欠員や繁忙のため、初日から即戦力として扱われる
これらは別々の問題に見えますが、根は同じことが多いです。仕事の中身と順番が、ベテランの頭の中にしかない状態です。この状態だと、教えるたびに説明が変わり、教える側の負担も大きくなります。
現場に余裕がないと、新しい人も育ちにくい
たとえば、製造の現場で1人が辞め、残った人で回しながら新しい人を迎える場面を考えます。先輩は自分の持ち場をこなしながら教えることになり、説明は短く、質問への答えも後回しになりがちです。新しい人は分からないことを抱えたまま作業を続け、ミスを指摘されて自信をなくします。
ここで起きているのは性格の問題ではなく、教える時間が業務の中に組み込まれていないという問題です。残業が増えている時期ほど、この状態に陥りやすくなります。残業の増え方から人手の足りなさを読む方法は、残業と人手不足のコラムで扱っています。
採用と同時に「受け入れる体制」を整える
受け入れる体制といっても、大がかりな研修制度は要りません。次の4つを、採用が決まった時点で用意します。
- 最初の1か月で任せる作業を3つ程度に絞り、覚える順番を決める
- その作業ごとに、手順と「終わった」と判断する条件を1枚にまとめる
- 質問を受ける担当を1人決め、その人の持ち場の仕事を少し減らしておく
- 週に1回、10分でよいので、困っていることを聞く時間を決めておく
1と2は、業務の切り分けそのものです。ベテランが一人で抱えている作業を、新しい人に渡せる単位に分けておくと、教える人が変わっても説明がぶれにくくなります。切り分け方はベテランに集まった作業を分けるコラムも参考にしてください。
勤怠の記録も手がかりになります。入社直後から残業が多い、休憩がきちんと取れていない、といったことは、本人が言い出す前に記録に表れます。月末の締めでまとめて見るのではなく、最初の数週間は週単位で確かめると、早めに手を打てます。
見直しを続けるために
受け入れの段取りは、一度作って終わりではありません。辞めた人がいたときも、続いている人がいるときも、「最初の1か月で何につまずいたか」を聞き、手順の紙に書き足していきます。
注意したいのは、この見直しを個人の評価に結びつけないことです。教え方がうまくいかなかった先輩を責める形になると、次からは問題が報告されなくなります。見直すのは人ではなく、作業の渡し方です。
辞める人から理由を無理に聞き出そうとしないでください。退職の手続きの場では本音が出にくいものです。続いている人から「最初に困ったこと」を聞くほうが、直す点が見つかりやすくなります。
まとめ
人が定着しない原因は、給与だけでなく、教育・仕事の偏り・相談相手・仕事内容のずれ・現場の余裕が重なって生まれます。採用を繰り返す前に、最初の1か月で任せる作業を絞り、手順を1枚にまとめ、質問を受ける人と時間を決めてください。勤怠の記録を週単位で見ると、無理が大きくなる前に気づけます。どれも定着を約束するものではありませんが、次に入る人が同じところでつまずく可能性を減らせます。
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