総務・経理

Excel勤怠の限界と、勤怠システムへ移すタイミング

Excelでの勤怠管理はどこまで使えるのか。打刻、修正履歴、締め処理、休憩、有給、複数拠点、給与計算との連携という7つの観点から、システムへ移す判断の基準を整理します。人数だけでは決められません。

最終確認 2026.10.24約5分で読めます

この記事で分かること
  • 人数ではなく手作業の回数で決める理由
  • Excel勤怠をやめるか決める7つの確認点
  • システムへ移す前に決めておく3つのこと
  • 過去のExcelデータを移さない進め方

結論

先に結論を書きます。Excelでの勤怠管理をやめるかどうかは、従業員の人数ではなく「毎月の締めで、人の手が何回入っているか」で決めます。転記も直しも起きず、締めが一度で終わっているなら、Excelのままで構いません。反対に、10人の会社でも毎月同じ直しが発生しているなら、移したほうが早く楽になります。

Excelでも困らない場合

全員が同じ時間に出社して同じ時間に帰る、拠点は1つ、時給ではなく月給、有給の取得もまとまっている。こういう職場では、月末に出勤日数を数えて給与計算に渡すだけで終わります。関数を1つも書かなくても、紙の出勤簿と手間はほとんど変わりません。この状態を無理にシステムへ移しても、入れ替えの手間だけが増えます。

Excelが苦しくなるのは、例外が増えたときです。中抜けする人、直行直帰する人、月の途中で時給が変わる人、2つの現場を掛け持ちする人。例外が1つ増えるたびにシートの列が1つ増え、増えた分だけ計算式を直す場所も増えます。

移すかどうかを決める7つの確認点

人数ではなく、次の7つを1つずつ見ます。このうち3つ以上で「毎月人の手が入っている」なら、移行を検討する時期です。

打刻

出勤・退勤の時刻を、誰が、いつ入れているかを見ます。本人がその場で入れているなら問題は小さいのですが、月末にまとめて思い出しながら入力しているなら、それは記録ではなく申告です。厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」では、始業・終業時刻を確認し記録する方法として、使用者が自ら確認する方法か、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録といった客観的な記録を基礎とする方法が原則とされています。自己申告による場合も、実態と申告に大きな開きがあるときは調査して補正することが求められています。月末のまとめ入力は、この「後から補正する」作業が毎月発生しやすい形です。

修正履歴

打刻の間違いは、どんな職場でも起きます。問題は直すこと自体ではなく、誰がいつ何を直したかが残らないことです。Excelのセルは上書きすると前の値が消えます。本人の申告を上司が直したのか、本人が後から書き換えたのかが分からなくなります。

締め処理

締め日にファイルを誰かに渡し、その人が集計し、さらに給与担当へ渡す。この受け渡しが2回以上あるなら、その間に版が分かれます。「最新版はどれですか」というやり取りが毎月起きているなら、締め処理が仕組みになっていない合図です。

休憩

休憩を一律45分や1時間で差し引いている場合、実際の休憩時間と合っているかを確認します。中抜けや現場移動のある職場では、一律の控除が実態から離れやすくなります。

有給

残日数をExcelで管理していると、付与日が人によって違うため、行ごとに計算式が変わります。入社日を基準に管理している会社ほど、この列は壊れやすい部分です。年度の切り替えでシートを作り直すと、前年の残日数の引き継ぎも手作業になります。

複数拠点

拠点ごとにファイルを分けている場合、集計時に1つへまとめる作業が毎月入ります。拠点によって書式が少しずつ違うと、まとめる側が書式を直してから集計することになります。ここは移行の効果が出やすい部分です。

給与計算との連携

集計結果を給与ソフトへ手で入力しているなら、月に1回、全員分の転記が発生しています。CSVなどのファイルで受け渡せる形になっているかどうかで、締め日の負担はかなり変わります。

実務ではこうなる

事務所と倉庫の2拠点、パートを含めて18人の会社を考えます。倉庫側はシフト制で、月の途中の入退社もあります。担当者は月初にシートを配り、月末に回収し、倉庫分の書式を直し、深夜の時間数を手で数え、給与ソフトへ18人分を入力します。人の手が入っているのは、配布・回収・書式直し・深夜集計・転記の5か所です。

この会社の人数が8人に減っても、5か所の手作業は減りません。シフト制と2拠点という条件が変わらないからです。これが「人数だけで判断しない」ということです。逆に30人いても、全員が同じ勤務形態で拠点が1つなら、Excelのまま無理なく回っていることがあります。

移す前に決めておくこと

移行の前に、次の3つを紙に書き出します。

  1. 誰が打刻するか(本人か、管理者か)
  2. 打刻を直せるのは誰か
  3. 締めたあとに直す必要が出たとき、どう扱うか

3つ目を決めずに導入すると、締め後の修正がシステムの外(メールやチャット)で処理され、結局Excelの表が復活します。

注意
過去のExcelデータをすべて移そうとすると、移行そのものが止まります。過去分はファイルのまま保存し、新しい仕組みは切り替え月から始めるほうが進みます。

注意点

勤怠システムを入れても、労働時間の管理そのものが自動で正しくなるわけではありません。打刻が実態とずれていれば、ずれたまま正確に集計されるだけです。また、労働時間に関する書類の保存期間や対象となる書類の範囲は改正されることがあります。最新の要件は厚生労働省の案内で確認してください。

ここがポイント
APOULが準備している勤怠も公開予定の段階です。仕組みは記録と集計を助けるもので、どこまでを記録として扱うかというルールは会社側で決める必要があります。

まとめ

  • Excelをやめる判断は人数ではなく、締めで人の手が入る回数で決めます。
  • 打刻・修正履歴・締め処理・休憩・有給・複数拠点・給与連携の7つを確認します。
  • 移行前に、打刻する人・直せる人・締め後修正の扱いを決めます。
  • 過去データは無理に移さず、切り替え月から始めます。
  • 法令の細かい要件は、厚生労働省の案内で確認してください。
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