業務改善

Excelで続けるか、システムにするか。判断の分かれ目

Excelは古い道具ではありません。集計や分析には今も向いています。一方で、複数人の同時更新・承認・履歴・権限・個人情報・大量データが絡むと限界が出ます。どちらを選ぶかの目安と、移行するときの順番を整理します。

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この記事で分かること
  • Excelのままで問題ない4つの場面
  • システム化を考えるべき7つのサイン
  • 承認・履歴・権限がExcelで難しい理由
  • Excelからシステムへ移すときの順番

結論

Excelをやめるかどうかは、データの量ではなく「同時に触る人がいるか」「後から履歴を確認する必要があるか」で決まります。1人が自分のために集計しているなら、Excelのままで問題ありません。

「脱Excel」という言い方が独り歩きしていますが、Excelが不向きな場面があるだけで、道具として古いわけではありません。手元の分析では、むしろ置き換えにくい道具です。

Excelが向いている場面

次のような使い方では、Excelのほうが早く、融通も利きます。

  • 一時的な集計:今回だけ必要な数字を出す。翌月も同じ形で使うとは限らない。
  • 少人数、できれば1人:自分か、決まった1人が開く。同時に触る人がいない。
  • 形が固まっていない分析:途中で列を足したり、条件を変えたりしながら答えを探す。
  • 試しに作ってみる段階:業務の形が定まる前に、まずExcelで動かして様子を見る。

最後の項目は特に大事です。要件が固まらないうちにシステムを作ると、作り直しになります。Excelで数か月動かして、必要な項目と例外がはっきりしてから検討するほうが安全です。

システム化を検討する場面

次のどれかが2つ以上当てはまると、Excelでの運用に無理が出てきます。

  • 複数人が同時に更新する:「更新中のため読み取り専用で開きます」が日常になっている。ファイル名に日付と担当者名が付いた版が並んでいる。
  • 承認が要る:申請して、上長が確認して、確定する、という段階がある。Excelでは「確定した」という状態を表現しにくい。
  • 履歴を残す必要がある:いつ誰がどの値を直したかを、後から説明する場面がある。
  • 人によって見せる範囲が違う:全員が同じファイルを開くと、見せたくない列まで見えてしまう。シートを分けて対応し続けている。
  • 個人情報を扱う:氏名や連絡先を含むファイルが、各自の端末やメールの添付で複数存在している。
  • データが増え続ける:行が増え、開くのに時間がかかる。集計のたびに数式の範囲を直している。
  • 定期処理がある:毎月、同じ手順で同じ表を作り直している。

特に、承認・履歴・権限の3つはExcelの得意分野ではありません。工夫で乗り切ることはできますが、その工夫を維持する人が必要になり、そこで属人化します。

判断の目安

迷ったときは、次の表を上から見ていきます。

見るところExcelのままシステムを検討
同時に触る人1人2人以上が同じ時間に
承認の段階ない申請と確認がある
履歴要らないいつ誰が直したかを問われる
見せる範囲全員同じでよい人によって変える必要がある
個人情報含まない含む
データの増え方一定増え続ける
注意
個人情報を含むファイルは、共有の方法と保管場所を決めてから扱いを変えてください。取り扱いの考え方は個人情報保護委員会の案内を確認してください。

移行するときの順番

システムにすると決めた場合でも、全部を一度に移さないでください。順番はこうです。

  1. いまのExcelで、実際に使われている列だけを書き出す。長く使ってきた表ほど、使われていない列が見つかりやすくなります。
  2. 例外の処理を書き出す。「この取引先だけ締め日が違う」といった例外が、移行の難所です。
  3. 1か月だけ、並行して動かす。Excelとシステムの両方に入れて、数字が合うかを見ます。
  4. 合った時点で、Excelを参照専用にする。削除はしません。

並行運用は手間がかかりますが、ここを飛ばすと、合わない数字が出たときに原因を切り分けられません。

実務ではこうなる

12人の部品商社で、在庫表と、パートを含むシフト表をExcelで管理しているとします。

在庫表は、1人が毎朝更新して全員が見るだけなら、Excelのままで構いません。問題が出るのは、営業が外出先から在庫を引き当てたい場合です。同時更新が必要になり、ここで限界が出ます。

シフト表は事情が違います。申請があり、確認する人がいて、後から「誰がいつ変更したか」を確認する必要があります。承認・履歴・権限の3つがそろっているため、Excelで続けると、版の管理に時間を取られます。

つまり同じ会社の中でも、在庫はExcel、シフトはシステム、という結論になり得ます。

ここがポイント
移行しない部分にも、名前の付け方と保存場所のルールは必要です。そこが決まっていないと、どちらを選んでも探す時間は減りません。

まとめ

Excelは、一時的な集計・少人数・形が固まっていない分析に向いた道具です。一方、複数人の同時更新、承認、履歴、権限、個人情報、増え続けるデータ、定期処理が重なると、維持する工夫のほうが重くなります。判断は業務ごとに行ってください。会社単位で「脱Excel」と決める必要はありません。移行するときは、使っている列と例外を書き出し、1か月だけ並行して動かしてから切り替えます。

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