総務・経理

有給休暇の管理、勤怠と別にすると何が起きるか

有給休暇の残日数をExcelや紙の台帳で別管理にしていると、申請のたびに勤怠記録と突き合わせる手間が発生します。勤怠システム側で一緒に管理する場合との違いを、実際の申請から承認までの場面に沿って整理します。

最終確認 2026.11.07制度状況:現行約5分で読めます

この記事で分かること
  • 有給休暇を別台帳で管理すると起きること
  • 残日数を勤怠と同じ場所で持つ流れ
  • 出勤・有休・欠勤を1つの記録で分ける理由
  • 付与日数の設定と雇用形態の区別
  • 年次有給休暇管理簿を残す理由

結論

有給休暇の残日数を、出勤・欠勤などの勤怠記録と別の台帳で管理していると、申請が来るたびに2つの記録を突き合わせる作業が発生します。勤怠側で出勤・有休・欠勤を最初から区別して記録していれば、残日数の確認と承認をその場で終えられます。管理の手間は、休暇という制度そのものの複雑さではなく、記録を社内の何か所に分けて持っているかで変わります。

なぜ問題になるのか

有給休暇をExcelや紙の台帳で別管理にしている会社では、社員から休暇の申請が来たときに、まず台帳を開いて残日数を確認し、そのあとで勤怠記録に「休み」として反映する、という2段階の作業になりがちです。台帳の更新が遅れると、実際の残日数と台帳の数字がずれ、承認する側が古い数字をもとに判断してしまうことがあります。

さらに、有休を取得した日を欠勤として記録してしまうと、その後の給与計算にも影響します。出勤・有休・欠勤・休職といった区分を勤怠側で正しく分けて持っていないと、どの日が何の扱いだったかを後から追いかけるだけでも時間がかかります。

どうすればいいか

有給休暇の残日数を、勤怠記録と同じ場所で管理することが基本になります。出勤・有休・欠勤・休職を勤怠システム側で区別して記録し、申請から承認までを同じ流れの中で完結させれば、台帳を別に開いて突き合わせる作業がなくなります。

具体的には、

  1. 入社日や付与日をもとに、残日数を勤怠システム側で自動的に更新する
  2. 社員本人が残日数を確認したうえで申請する
  3. 承認した時点で、その日の記録が「有休」として勤怠に反映される

という流れにすると、担当者が手作業で数字をそろえる場面がなくなります。

このとき重要なのは、有休の申請と、遅刻・早退・欠勤といった他の勤怠区分を、別々の仕組みで扱わないことです。区分がバラバラの場所に記録されていると、月末に「この日は結局どの扱いだったか」を1件ずつ調べ直すことになります。出勤・有休・欠勤・休職を最初から同じ記録の中で区別しておけば、月末の集計はその区分をそのまま数えるだけで済みます。

実務ではこうなる

社員20人の会社で、有給休暇をExcelの台帳で管理しているとします。月末になると、担当者は全社員分の申請メールと台帳を見比べながら、残日数を1人ずつ手で更新します。ある社員が急に休暇を申請してきたとき、台帳の更新が先月分までしか終わっていなければ、正確な残日数がその場では分かりません。

一方、勤怠システム側で有休を管理している場合は、社員本人が申請画面を開いた時点で今の残日数が表示されます。担当者は承認するかどうかを判断するだけで済み、台帳を別途更新する作業自体が発生しません。人数が増えるほど、この差は担当者の作業時間に直接表れます。

退職者が出たときも同様です。台帳が別管理だと、退職日までの残日数を最後にもう一度手で計算し直す必要がありますが、勤怠システム側で日々更新されていれば、退職手続きの時点でそのまま数字を使えます。年度の途中で入社・退職が重なる会社ほど、この作業の差は大きくなります。

注意点

勤怠システムに残日数の管理を任せる場合でも、付与日数の計算そのもの(入社からの経過年数や、出勤率などの条件)を誤って設定すると、システムが表示する数字が最初から間違っていることになります。導入時と、年に一度は、実際の制度と設定内容が合っているかを確認してください。

また、厚生労働省の案内では、2019年4月から、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)について、付与した日(基準日)から1年以内に5日を取得させることが使用者に求められています。本人が自分で申し出て取った日数や、労使協定で計画的に取得日を決めた日数は、この5日から差し引くことができます。入社日に前倒しで付与する場合などの扱いは細かい決まりがあるため、厚生労働省の案内で自社の対象者がどの条件にあてはまるかを確認してください。

週の所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下のパート・アルバイトなど(週以外の期間で所定労働日数を決めている場合は、年間の所定労働日数が216日以下の人)には、正社員より少ない日数が比例して付与されます。全員を同じ計算式で扱うと、雇用形態ごとの違いを見落とすことがあるため、勤怠システム側の設定でも雇用形態を区別しておくことが必要です。

年次有給休暇管理簿は残す

台帳をやめて勤怠システムに移すときに、見落とさないでほしいことがあります。使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、保存しなければなりません。労働基準法施行規則では、有給休暇を与えた時季、日数、基準日を労働者ごとに明らかにした書類とされています。保存期間について、厚生労働省の案内では3年間と書かれています(労働基準法施行規則の第24条の7は、有給休暇を与えた期間中と、その期間が終わってから5年間としていますが、第71条で当分の間は「3年間」と読み替えるとされています)。

つまり、Excelの台帳をやめることは、管理簿をなくすことではありません。勤怠システムで管理する場合も、労働者ごとに時季・日数・基準日を確かめられ、必要な期間保存されるかを、導入の前に確認してください。

まとめ

有給休暇の管理を勤怠記録と分けるほど、申請のたびに記録を突き合わせる手間が増えます。出勤・有休・欠勤を勤怠システム側で最初から区別し、残日数の確認から承認までを同じ場所で完結させることが、担当者の作業を減らす一番の近道です。年5日の取得や年次有給休暇管理簿など制度に関わる部分は、厚生労働省の案内など一次情報で確認してください。

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