- 月給制でも欠勤控除をするときの前提
- 欠勤控除で決めておく5つのこと
- 有給休暇を欠勤にしてはいけない理由
- 勤怠で分けておくべき休みの区分
結論
月給制だからといって、1日休んでも必ず同じ給与になるとは限りません。欠勤した日の賃金を差し引く会社では、何をどう計算するかを就業規則や賃金規程で決めておきます。そして、有給休暇を取った日を欠勤として扱ってはいけません。勤怠の側で、出勤・有休・欠勤・休職を正しく分けてから給与へ渡すことが前提です。
月給制でも差し引くことはある
月給制にはいくつかの形があり、欠勤しても減額しない形もあれば、欠勤した分を差し引く形もあります。どちらにするかは会社が決めることで、法律で一律に決まっているわけではありません。
働かなかった日の賃金を支払わない、という考え方自体は、一般に認められていると考えられています。ただし、差し引くなら、その決まりを規程に書き、全員に同じ方法で当てはめる必要があります。
決めておくべき5つのこと
欠勤控除の計算で、会社として決めておくことは次の5つです。
- 欠勤の単位(1日単位か、時間単位でも引くか)
- 1日あたりの賃金の出し方(月給を、その月の所定労働日数で割るか、年間の平均で割るか)
- 対象に含める手当(基本給だけか、手当も含めるか)
- 月の途中の入社・退職との関係(日割りの方法をそろえるか)
- 欠勤が多い月の上限(全額控除になる場合の扱い)
2は見落とされやすい点です。「その月の所定労働日数で割る」方法では、月によって1日あたりの額が変わります。「年間の平均で割る」方法では、毎月同じ額になります。どちらを使うかで控除額が変わるので、規程に書いておきます。
有給休暇の日を欠勤にしない
年次有給休暇は、労働基準法第39条で認められた、賃金が支払われる休暇です。有給休暇を取った日を欠勤として扱い、賃金を差し引くことはできません。
実務でこの間違いが起きるのは、勤怠の記録が「休み」の1種類しかなく、有休と欠勤を区別していないときです。また、休職期間の扱いは会社の規程で決まるので、欠勤とも有休とも別に記録します。
勤怠で区分を分けてから給与へ
給与計算の正確さは、勤怠データの正確さに大きく左右されます。欠勤控除では、少なくとも次の区分を勤怠で持っておきます。
- 出勤
- 年次有給休暇
- 欠勤
- 休職
- 会社の決めた特別休暇(有給か無給かも)
この区分が確定してから給与計算に渡せば、給与の側では規程の計算式を当てはめるだけになります。APOUL KINTAI は、休暇の種類を分けて記録し、締めた勤務実績を給与計算へ渡せる形を目指しています。
計算の例
月給22万円(基本給20万円、役職手当2万円)の社員が、ある月に2日欠勤したとします。
- その月の所定労働日数で割る方法(所定労働日数20日、基本給と手当の両方を対象にする場合):22万円÷20日=1日1万1千円、2日で2万2千円
- 年間の平均で割る方法(年間所定労働日数240日÷12か月=月平均20日の場合):同じく1日1万1千円
この例では同じ額になりますが、所定労働日数が19日の月や22日の月では、前者の方法だと1日あたりの額が変わります。どの方法でも構いませんが、決めた方法を毎月同じように使います。
休職のときの扱い
休職は、欠勤とは別に、会社の規程で決まる制度です。休職中に給与を払うか、払うならいくらか、社会保険料をどう扱うかは規程と制度によって変わります。休職に入る日と、復職する日を勤怠ではっきり記録し、その月の給与計算で日割りのしかたを確かめます。給与を払わない月でも、社会保険料の本人負担分が発生することがあるので、その集め方も決めておきます。
欠勤控除の方法を決めたら、入社時の説明資料や給与明細の見方の案内にも書いておきます。社員が自分で計算を確かめられる状態にしておくと、「なぜこの月は少ないのか」という問い合わせが減り、給与担当者の手間も減ります。控除の結果を明細に「欠勤控除」として別の行で出すことも、分かりやすさにつながります。
まとめ
月給制でも、欠勤した日を差し引く会社はあります。差し引くなら、単位・1日あたりの賃金・対象の手当・日割りの方法・上限を規程で決め、全員に同じ方法で計算します。有給休暇の日は欠勤にしません。勤怠で出勤・有休・欠勤・休職を分けてから給与へ渡すのが前提です。規程を作るときは、社会保険労務士などの専門家に確認してください。
遅刻や早退の場合は「遅刻・早退の控除はどう計算する?」で、勤怠と給与をつなぐ流れは「給与計算の流れを、勤怠締めから振込まで順番に整理」で整理しています。