- 業務を中核・補助・定型に分ける方法
- 1つの仕事を判断と手順に分ける考え方
- 社外に任せやすい業務の4つの条件
- 派遣と請負で指示の出し方が違う点
結論
正社員がすべての作業を抱える必要はありません。人を増やすかどうかを考える前に、いまある業務を「中核業務」「補助業務」「定型業務」の3つに分けてみてください。分けてみると、正社員でなくても進められる作業、まとめたり道具に任せたりできる作業、社外に任せる選択肢がある作業が見えてきます。
分けるのは、人を減らすためではありません。正社員が、その人にしかできない判断や改善に時間を使えるようにするためです。
正社員が「本来の仕事」に集中できていますか
たとえば、製造の現場責任者が、朝は生産計画の見直しをし、昼は検品を手伝い、夕方は日報の集計と備品の発注をしている、という場面を考えます。どれも必要な仕事ですが、生産計画の見直しは、その人でなければできません。一方で、日報の集計や備品の発注は、手順さえ決まっていればほかの人でも進められます。
管理職や正社員が現場の作業まで抱えていると、本来の仕事は後回しになり、残業で埋め合わせることになります。勤怠の記録で、誰の残業がどの曜日や月末に偏っているかを見ると、どの作業が時間を取っているかの手がかりになります。
人手不足ほど、優先順位が効いてくる
人が足りないときに、すべての作業を同じ重さで回そうとすると、どれも中途半端になります。限られた人数で回すからこそ、「この人がやるべき仕事」と「誰がやってもよい仕事」を分けておく意味が大きくなります。
優先順位がないまま人を1人増やしても、何を任せるかが決まっていなければ、結局は正社員が教えながら同じ作業を抱え続けます。人を増やす前に仕事を整理しておくと、増えた人にも仕事を渡しやすくなります。
業務を3つに分ける
| 分類 | 中身 | 例 |
|---|---|---|
| 中核業務 | 会社の強みや判断に直結する仕事 | 生産計画、取引条件の相談、品質の最終判断 |
| 補助業務 | 中核業務を支える仕事。判断は少ないが、前後の事情を知っている必要がある | 見積もりの下書き、段取りの準備、資料の取りまとめ |
| 定型業務 | 手順が決まっていて、毎回同じやり方で進む仕事 | データ入力、検品、梱包、備品の発注、書類の仕分け |
分けるときは、仕事の名前ではなく中身で判断します。同じ「受注処理」でも、特別な値引きを認めるかどうかは中核業務、受注内容の入力は定型業務です。1つの仕事を、判断の部分と手順の部分に分けて考えるのがこつです。ベテランに作業が集中している現場での切り分け方は、「あの人しかできない」仕事を、渡せる単位に切り分けるで扱っています。
定型業務は、人に任せる前に、なくせないか、まとめられないか、道具に任せられないかを先に考えます。同じ数字を紙の日報と表計算の2か所に書いているなら、1か所にするだけで作業が減ります。
事務の場面でいえば、月末に請求書を出す担当者が、発行に加えて、宛先の確認、控えの保存、封入と発送までを1人でしているとします。宛先の確認は補助業務として担当者の近くに残し、封入と発送は定型業務としてほかの人に回す、という分け方ができます。発行の時期や金額の判断は、これまでどおり担当者が持ちます。
社外に任せやすい業務の条件
社内のほかの人に回すか、社外に任せるかを考えるときは、次の点を確かめます。
- 始まりと終わり、できあがりの基準を言葉で説明できる
- 途中でこちらから細かく指示しなくても進められる
- 量や時期がある程度読める
- 社外の人が扱ってよい情報の範囲がはっきりしている
これらが言えない作業は、外に出す前に、社内で手順を固めるほうが先です。手順が固まっていない作業を外に出すと、問い合わせと手戻りが増え、正社員の時間はかえって減ります。
派遣と請負は、仕組みが違う
社外の力を借りる方法として、よく名前が挙がるのが派遣と請負です。この2つは、働く人に誰が指示を出すかが違います。
- 派遣:派遣会社が雇う人が、受け入れる会社(派遣先)の指揮命令を受けて働きます。
- 請負:請負事業者が自分の労働者を指揮命令・労務管理して、仕事を進めます。発注する側は、請負の労働者に直接指示してはいけません。
契約が請負でも、実態として発注する側が作業の指示をしていれば「偽装請負」となり、労働者派遣法違反になります。先ほどの条件でいえば、途中で細かい指示が必要になる作業は、請負には向きません。派遣を使う場合は、許可を受けた派遣会社かどうかを確かめてください。2つの違いは、派遣と請負の違いを現場の目線で整理した記事でも扱っています。
どの契約の形を選ぶかの判断は、この記事では扱いません。具体的な契約は、許可を受けた派遣会社や請負事業者、都道府県労働局の窓口に相談してください。
まとめ
正社員の時間が足りないときは、人数の前に仕事の中身を見直します。業務を中核・補助・定型に分け、1つの仕事も判断と手順に分けて考えます。定型業務は、なくす・まとめる・道具に任せるを先に考えます。社外に任せるなら、指示の出し方が契約の形に合っているかを確かめます。
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