- 令和5年3月卒の3年以内離職率
- 事業所の規模と産業でどれだけ違うか
- この統計で分からないこと
- 小さな職場が最初の1年で見直すこと
結論
厚生労働省は10月23日、2023年(令和5年)3月に卒業して就職した人の離職状況を公表しました。就職後3年以内に離職した割合は、大学卒が31.2%(前年より2.6ポイント低下)、高校卒が36.9%(同1.0ポイント低下)でした。
ただ、事業所の規模による差は大きく、5人未満の事業所では大卒の58.2%、高卒の61.3%が3年以内に離れています。1年目の離職がいちばん多いという形も同じです。この数字から辞めた理由は読めませんが、少人数の職場ほど、入社から最初の1年の受け入れ方を見直す価値は大きいと考えられます。
発表された数字
| 事業所の規模 | 高校 | 大学 |
|---|---|---|
| 5人未満 | 61.3% | 58.2% |
| 5〜29人 | 53.3% | 50.6% |
| 30〜99人 | 45.5% | 39.7% |
| 100〜499人 | 36.4% | 31.7% |
| 500〜999人 | 29.4% | 29.0% |
| 1,000人以上 | 24.4% | 24.2% |
30人未満の事業所では、新卒の半分以上が3年以内に離れている計算です。年ごとに見ると、高卒は1年目17.4%・2年目11.0%・3年目8.5%、大卒は1年目11.0%・2年目10.9%・3年目9.3%でした。高卒では、3年以内に辞めた人のおよそ半分が1年目に辞めています。
産業別では、高卒・大卒とも宿泊業・飲食サービス業(高卒61.6%、大卒49.9%)と、生活関連サービス業・娯楽業(高卒61.1%、大卒49.8%)が高くなっています。
この数字をどう読むか
この統計は、事業所がハローワークに出した雇用保険の加入の届けから新卒の就職者を推定し、離職した日から率を出しています。発表には離職の理由は含まれていないので、「なぜ辞めたか」はこの数字からは読めません。
規模別の数字は会社全体ではなく事業所の規模です。大きな会社の小さな支店も小さな事業所に入ります。ここでは、規模が小さい職場ほど新人が残りにくい傾向がある、という読み方にとどめます。
小さな職場が最初の1年で見直すこと
人数が少ないと率は大きく振れるので、まず過去5年ほどの採用をまとめて見ます。たとえば3年たった4人のうち2人が辞めていれば50%で、全国の5〜29人の事業所と同じくらいですが、1人の違いで大きく変わります。入社日と退職日を並べ、辞めた人が入社から何か月目だったかを書き出すと、手を入れる時期が見えてきます。そのうえで、次の点を見直します。
確認リスト
- 募集や面接で、普通の1日と繁忙期の様子を具体的に伝えているか
- 最初の3か月で覚える仕事と到達点が、紙1枚に書いてあるか
- 教える担当が1人決まっていて、その人の仕事量を減らしているか
入社後3か月は、月に1回15分でよいので、困りごとを聞く面談を先に予定表に入れておきます。予定に入っていない面談は、忙しい月にまず飛びます。辞めた人については、時期・担当していた仕事・本人が話した理由を短くても残します。数人分たまると「繁忙期の後に辞める」などの形が見えてきます。
注意点
離職率をゼロにしようとしないことです。合わない仕事から早く離れることは、本人にとって悪いことばかりではありません。目標は、防げた離職を減らすことです。
辞めたいと言われてから個別に条件を上げる対応を繰り返すと、残った人との間で不公平が生まれます。賃金や働く時間の見直しは、職場全体の話として扱ってください。労働条件の示し方は、厚生労働省や労働基準監督署の案内で確かめてください。この記事は一般的な説明で、個別の労務の助言ではありません。
厚生労働省は、新卒応援ハローワークなどで新卒の就職者の職場定着の支援を続けるとしています。
今日、まず確認すること
過去5年に採用した若手の入社日と退職日を一覧にして、辞めた人が入社から何か月目だったかを書き出してください。