- 改正案で何がいつ変わるのか
- 8%のまま残る定期便・通信販売
- 免税事業者・簡易課税の届出の特例
- 成立前に確かめておけること
結論
政府は、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の消費税率を今の8%から1%(国と地方の合計)に下げる法案を、2026年10月9日に国会へ出しました。衆議院の議案情報では、11月5日時点で「衆議院で審議中」で、10月20日に財務金融委員会に付託されたあと、委員会の審査はまだ終わっていません。法案は成立していません。
国税庁の説明資料も「法案が可決・成立した場合のもの」と断っています。今やることは、決まった前提で動くことではなく、成立したら何を直すかを洗い出しておくことです。
改正案の骨格
国税庁のリーフレットとQ&Aが示す内容は次のとおりです。
| 項目 | 改正案の内容 |
|---|---|
| 対象 | 飲食料品の販売と、保税地域から引き取る飲食料品 |
| 税率 | 1%(消費税0.78%と地方消費税0.22%相当) |
| 範囲 | 2027年3月31日までに8%の対象である飲食料品と同じ |
| そのまま | 外食・酒類・ケータリングなどは10%、定期購読の新聞は8% |
範囲が今の軽減税率と同じなので、テイクアウトや出前は1%、店内での飲食は10%のままです。今の8%と10%の区分が正しいかが、そのまま効いてきます。
8%が残る取引と、届出の特例
2027年1月1日より前に結んだ定期供給の契約で、4月1日より前に代金を受け取っているもの、そして1月1日より前に販売条件を示した通信販売(カタログギフトなど)で、4月1日より前に申込みを受けたものは、4月以後に届けても8%です。選べる仕組みではありません。ただし、1%を前提に契約していた場合や、契約を変更した場合は1%になります。
売上の税率が下がると、仕入れの税のほうが多くなり、一般課税なら還付を受けられることがあります。そのため改正案には次の特例があります。
- 免税事業者は、2027年4月1日を含む課税期間の途中でも、課税事業者を選ぶ届出を出せばその期間の初めから課税事業者になれる
- 簡易課税の事業者は、同じ期間の途中で一般課税に移る届出を出せる。いわゆる2年縛りもその期間は適用しない
- 簡易課税のまま申告する場合は、飲食料品(1%)の売上税額と同じ額を仕入税額として計上する
なお、免税事業者が4月1日からインボイス発行事業者になる場合は、今の登録の仕組みどおり、3月17日までに登録希望日を「4月1日」と書いて申請する、とQ&Aにあります。3月31日以前に売ったものが4月以後に返品された場合は、元の8%で処理します。
ほかに、中間申告を軽くできる特例と、値札の貼り替えが間に合わない場合に2027年2月1日〜5月31日の間は8%または1%の税込価格のままでよい特例も示されています。
成立前に確かめておけること
確認リスト
- 今8%で処理している商品・仕入れの一覧と、その区分が正しいか
- レジ・請求書・会計ソフトの提供元が、税率1%への対応を案内しているか
- 年内に示すカタログや定期便の条件に、税率が変わったときの価格の決め方を書くか
買う側の会社も無関係ではありません。Q&Aでは、売り手が3月に8%で請求し、自社の受け取りが4月になった場合も、売り手が付けた8%で仕入税額控除をするとしています。
注意点
国会の審議で内容が変わることはあり得ます。レジの設定や価格の改定を成立前に確定させないでください。同じ法案に入っている就業者負担軽減支援金は、この記事では扱っていません。
課税事業者を選ぶか、簡易課税をやめるかは、仕入れと売上の形で有利不利が逆になります。この記事は一般的な説明で、個別の税務の助言ではありません。判断は税理士や税務署に確認してください。国税庁は、一般的な問い合わせを消費税軽減税率・インボイスコールセンターで受け付けています。
今日、まず確認すること
レジや請求書のソフトの提供元が税率1%への対応を案内しているかを確かめ、社内で誰が追いかけるかを決めてください。