- 2026年10月に公的機関が公表した「攻撃にAIが使われた」という事実
- AIで何が変わるのか(速さ・量・相手を選ばないこと)
- 「アプリは解析される前提」で考える理由
- 小さな会社が見直す3つのこと
結論
国内で相次いだ不正アクセスについて、JPCERT/CC は2026年10月、攻撃者がAIを使って、知られた弱点の探索や、API(システム同士がやりとりする窓口)を通じた攻撃をしていたことを確認したと公表しました。AIが新しい種類の攻撃を生んだというより、昔からある攻撃を速く、大量に、相手を選ばずにできるようになった、と受け止めるのが実態に近いところです。守る側がやることは大きく変わりませんが、後回しにしていた基本の手当てが、以前より早く狙われます。
何が公表されたのか
- 10月13日:NICT が、公開されているスマホアプリを解析して、つながる先のサーバーを攻撃する手口を確認したと注意喚起。AIでアプリの解析や弱点探しが効率化され、より多くのシステムに攻撃が及ぶおそれがあるとしています。
- 10月15日:JPCERT/CC が、攻撃者がAIを利用して既知の脆弱性の探索やAPI経由の攻撃をしていたことを確認したと公表。日本以外の地域向けのサービスも対象でした。
- 10月23日:JPCERT/CC が注意喚起を更新し、AIを使った侵入テスト用の仕組みを悪用した攻撃の試みを追加。主に外部に公開されたWebアプリを狙い、弱点の探索や、設定ファイル・バックアップを盗むことを試みていました。
- 10月26日:政府の関係閣僚会議で、模擬的な攻撃テストや、高性能AIを用いた政府システムの脆弱性チェックの前倒しが指示されました。
JPCERT/CC は、すべての事案で同じ手口が使われたわけではなく、把握できている情報は限られていて断片的だとも書いています。「すべてAIのしわざ」と読むのは行き過ぎです。
AIで何が変わるのか
手間が下がると、狙われる相手が広がります。注意喚起は、もともと大勢が使う前提ではない社内向けのシステムからも情報が漏れたことに触れています。「うちは小さいから狙われない」は理由になりません。狙われやすいのは、知られた弱点、公開されたままの古いファイル、確かめの甘いAPIです。
「アプリは解析される」前提で考える
NICT は、公開しているアプリは解析されるものと考えて、つながる先のサーバー側で安全を確保することが大事だとしています。JPCERT/CC も、APIの秘密の鍵や長く使える認証情報をアプリに埋め込まないこと、見た目をわかりにくくする処理に頼らずサーバー側で利用者と権限を確かめることを勧めています。アプリそのものに弱点がなくても、サーバー側の確かめ方に不備があれば情報は漏れます。外注してアプリを作った会社は、発注した側としてここを確かめておきます。
小さな会社が見直すこと
確認リスト
- 公開している会社のサイト、管理画面、予約や会員のシステム、アプリがつながるサーバーを一覧にできているか。業務で要らない公開はやめたか
- 公開している場所に古い設定ファイルやバックアップが残っていないか。製品やプラグインの修正を当てているか
- APIに回数の制限と、頼む人ごとの権限の確かめがあるか。アプリに鍵が埋め込まれていないか(外注先に聞く)
JPCERT/CC は、不正アクセスに気づく体制と、気づいたときの最初の動きを見直すことも勧めています。アクセスの記録がどこに、どれだけ残っているかを保守会社に聞いておくと安心です。
「AIの攻撃にはAIの製品でしか対抗できない」という売り込みには、どの対策をどう補うのかを聞き返してください。公的機関が勧めているのは、公開範囲を減らす、修正を当てる、権限を絞る、記録を残して見る、という基本です。
今日、まず確認すること
自社が公開しているサイト・管理画面・アプリのつながる先を、紙に一覧で書き出してください。