総務・経理

年末調整とは?給与担当者の秋から1月までの仕事を整理

年末調整は、毎月差し引いた所得税と、1年分の正しい税額との差を精算する手続きです。秋の案内から申告書の回収、控除の確認、12月の精算、源泉徴収票まで、給与担当者の仕事を順番に整理し、制度の改正を毎年確かめる理由を説明します。

最終確認 2026.10.24制度状況:現行約5分で読めます

この記事で分かること
  • 年末調整が必要になる理由と計算の順番
  • 秋から1月までの給与担当者の仕事の流れ
  • 前の年の設定をそのまま使ってはいけない理由
  • 年末調整の対象にならない人と途中退職者

結論

年末調整は、毎月の給与から差し引いた所得税の合計と、その年に本来納めるべき所得税との差額を精算する手続きです。12月の給与計算の直前に始めるものではなく、秋から準備を始めます。そして税制の改正や申告書の様式、システムの設定を毎年確かめ、前の年の設定をそのまま使わないことが大切です。

なぜ年末調整が必要なのか

毎月の源泉徴収は、その月の給与だけを見て、1年分の税額を見込みで差し引いています。生命保険料や地震保険料を払った、といった事情は毎月の計算には反映されず、扶養親族の異動も、扶養控除等(異動)申告書を出したあとの給与からしか反映されません。

国税庁の説明では、年末調整は、その年の1月1日から12月31日までの間に支払うことが確定した給与の総額をもとに、次の順で1年分の税額を計算します。

  1. 給与の総額から給与所得控除を差し引く
  2. 所得控除(基礎控除、扶養控除、保険料控除など)を差し引く
  3. 税率を掛けて税額を出す
  4. 住宅ローン控除などがあれば差し引く
  5. 復興特別所得税を加える

こうして出した年税額と、毎月差し引いた合計を比べ、多ければ返し、少なければ追加で差し引きます。

秋から1月までの流れ

給与担当者の仕事は、おおむね次の順で進みます。

  1. 社員への案内(10〜11月ごろ。何を、いつまでに出すか)
  2. 申告書の回収(扶養控除等申告書、基礎控除・配偶者控除等の申告書、保険料控除申告書など)
  3. 扶養親族の確認(年齢、所得の見込み、同居かどうか)
  4. 保険料控除などの証明書の確認
  5. 1年分の給与と源泉徴収額の確定
  6. 年税額の計算と精算(12月の給与か、翌年1月の給与で返す・引く)
  7. 源泉徴収票の作成と社員への交付
  8. 市区町村への給与支払報告書の提出と、税務署への法定調書の提出(翌年1月末まで)

2から4で書類がそろわないと、後ろの工程がすべて止まります。だから案内は早く出し、回収の締め切りを12月の給与計算より十分前に置きます。

前の年の設定をそのまま使わない

年末調整の中身は、税制改正で毎年のように変わります。たとえば令和7年度の税制改正では、基礎控除の見直し、給与所得控除の最低保障額の引き上げ、特定親族特別控除の創設が行われ、2025年12月の年末調整から反映されました。2026年1月以後の毎月の源泉徴収にも、新しい税額表が使われています。さらに令和8年度の税制改正で、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。国税庁の案内では、原則として2026年(令和8年)12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。2026年11月までの源泉徴収は変わらず、2026年12月に行う年末調整から変わります。金額などの詳しい内容は、国税庁の案内で確かめてください。なお国税庁の案内では、令和9年分以後は、所得税・復興特別所得税に加えて防衛特別所得税も源泉徴収の対象になります。合計の税率(2.1%)は変わらないため、源泉徴収税額の計算方法は変わりません。

申告書の様式も改正にあわせて変わることがあります。前の年の申告書を配ったり、給与計算の仕組みの設定をコピーしたりすると、控除の額や判定の基準がずれます。国税庁は毎年秋に「年末調整のしかた」を公表しているので、それを読んでから準備を始めます。

年末調整の対象にならない人

年末調整は、すべての社員が対象になるわけではありません。国税庁の説明では、たとえば1年間の給与の総額が2,000万円を超える人や、扶養控除等申告書を出していない人(乙欄の人)は、年末調整の対象になりません。こうした人は、必要に応じて本人が確定申告をします。対象者の一覧を作るときに、この区分を先に分けておきます。

年の途中で退職した人

年の途中で退職した人は、原則として退職した会社では年末調整をしません。退職のときに源泉徴収票を渡し、次の会社で年末調整をするか、本人が確定申告をします。一方、12月分の給与の支払を受けてから退職した人や、パートタイマーで年間の給与が一定額以下のまま退職した人(その年に再就職の見込みがない場合)などは、国税庁の説明で年の途中で年末調整をする対象とされています。退職の時期と対象の関係は、国税庁の案内で確かめます。

申告書の回収を早めるために

回収が遅れる原因の多くは、社員が「何を、どこに書けばいいか」分からないことです。案内には、昨年から変わった点を最初に書き、控除の証明書の例を添えます。電子で申告書を受け付ける仕組みを使うと、記入漏れのチェックや回収の状況の把握が楽になります。

源泉徴収票と給与支払報告書

年末調整が終わったら、社員ごとに1年間の給与と源泉徴収した税額をまとめた源泉徴収票を作り、本人に渡します。同じ内容をもとにした給与支払報告書は、社員が1月1日に住んでいる市区町村へ提出します。市区町村はこれをもとに翌年度の住民税を計算するので、ここでの間違いは6月からの住民税の額にも響きます。年末調整と住民税は別の手続きですが、数字はつながっています。

まとめ

年末調整は、毎月の見込みの源泉徴収を、1年分の正しい税額で精算する手続きです。秋の案内から始まり、申告書の回収と確認、12月の精算、源泉徴収票、1月末の提出までが給与担当者の仕事です。税制と様式は毎年変わるので、前の年の設定を使わず、国税庁の最新の「年末調整のしかた」を確かめてから進めてください。