総務・経理

賞与から何を差し引く?毎月の給与と違う計算のしかた

賞与からは健康保険・厚生年金・雇用保険の保険料と所得税を差し引きますが、計算のもとは毎月の給与と違います。標準賞与額、賞与支払届の期限、所得税の算出率の表、よくある3つのミスを一次資料にもとづいて整理します。

最終確認 2026.10.24制度状況:現行約4分で読めます

この記事で分かること
  • 賞与から差し引く保険料と税の種類
  • 標準賞与額と賞与支払届の決まり
  • 賞与の所得税を出す算出率の表の使い方
  • 賞与計算でよく起きる3つのミス

結論

賞与からも、健康保険・介護保険・厚生年金の保険料、雇用保険料、所得税を差し引きます。ただし計算のもとは毎月の給与と違います。社会保険は「標準賞与額」、所得税は「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。毎月の給与の計算式をそのまま流用しないことが、いちばん大事です。

賞与から差し引くもの

賞与から差し引くのは、主に次のものです。

  • 健康保険料と子ども・子育て支援金(40歳以上65歳未満は介護保険料も)
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 所得税(源泉徴収)

住民税は、毎月の給与で決まった額を差し引く仕組みなので、通常は賞与からは差し引きません。

社会保険:標準賞与額と賞与支払届

日本年金機構の説明では、保険料の対象になる賞与は、労働の対償として年3回以下支給されるものです。年4回以上支給されるものは、賞与ではなく毎月の報酬として扱います。

賞与の保険料は、税引き前の賞与額から1,000円未満を切り捨てた「標準賞与額」に保険料率を掛けて計算します。標準賞与額には上限があり、厚生年金保険は1回の支給につき150万円が上限です。健康保険にも別の上限があります。

賞与を支払ったときは、支給日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を日本年金機構へ提出します。支払ったのに届け出を忘れる、というのはよくある漏れです。

雇用保険と所得税

雇用保険料は、賞与も含めた賃金に料率を掛けて計算します。社会保険のような「標準賞与額」への置き換えはなく、実際に支払った額がもとになります。料率は年度ごとに見直されることがあります。

所得税は、毎月の給与の「月額表」ではなく、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を使います。前の月の給与額(社会保険料などを差し引いたあと)と扶養親族等の数から率を求め、賞与の額(社会保険料などを差し引いたあと)に掛けて税額を出します。2026年1月1日以後に支払う賞与には、令和8年分の表を使います。

よくある3つのミス

賞与計算でよく起きるのは、次の3つです。

  1. 毎月の給与の計算式を、そのまま賞与に使う
  2. 前回の賞与の設定をコピーして、途中の変更を反映しない
  3. 料率や税額表の改定を反映していない

どれも「前回と同じでいいだろう」という思い込みから起きます。賞与は年に数回しかないので、そのあいだに料率や表が変わっていることがあります。

賞与は別の計算として持つ

給与計算の仕組みでは、毎月の給与と賞与を別の計算として持ち、それぞれに使う表と計算方法を分けておく必要があります。そのうえで、1年間に払った給与と賞与をまとめて見られるようにしておくと、年末調整や、年3回以下かどうかの確認にも使えます。

計算の流れ(例)

賞与の計算は、おおむね次の順で進めます。

  1. 賞与の額を確定する
  2. 標準賞与額を出す(1,000円未満を切り捨て、上限を確かめる)
  3. 健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料を計算する(標準賞与額×料率)
  4. 雇用保険料を計算する(賞与の額×料率)
  5. 前の月の給与(社会保険料などを差し引いたあと)と扶養親族等の数から、所得税の算出率を求める
  6. 賞与の額から社会保険料と雇用保険料を差し引き、算出率を掛けて所得税を出す
  7. 差引支給額を出し、振り込む
  8. 支給日から5日以内に賞与支払届を出す

前の月に給与の支払いがない場合など、算出率の表を使わずに計算する場合もあります。国税庁の源泉徴収税額表の説明で、どの方法を使うかを確かめます。

年に何回払うかで扱いが変わる

同じ性質の支給が年に4回以上になると、社会保険では賞与ではなく毎月の報酬として扱われます。四半期ごとに業績給を払うような制度を作るときは、この区分に当たらないかを先に確かめておきます。

算出率は賞与の額ではなく前の月の給与で決まるので、前の月の給与の額を正しく使えているかを確かめます(賞与が前の月の給与の10倍を超える場合などは、月額表を使う別の計算になります)。そのため、前の月の給与の計算に間違いがあると、賞与の所得税にも響きます。

まとめ

賞与からは、社会保険料・雇用保険料・所得税を差し引きますが、社会保険は標準賞与額、所得税は算出率の表と、毎月の給与と計算のもとが違います。支給日から5日以内の賞与支払届も忘れずに出します。計算式を流用せず、料率と表の改定を毎回確かめてください。個別の判断は、年金事務所や税務署に確認してください。

毎月の給与の所得税の求め方は「給与から引かれる所得税はどう決まる?」で整理しています。