総務・経理

給与から引かれる所得税はどう決まる?源泉徴収の考え方

給与から差し引く所得税は、給与に一定の率を掛けて決まるものではありません。源泉徴収税額表の甲欄と乙欄、扶養控除等申告書との関係、2026年分からの税額表の改正、年末調整との役割の違いを一次資料にもとづいて整理します。

最終確認 2026.11.07制度状況:一部施行済・一部施行予定(2026年12月1日)約4分で読めます

この記事で分かること
  • 源泉徴収税額表で所得税を求める手順
  • 扶養控除等申告書で決まる甲欄と乙欄
  • 2026年1月から切り替わった税額表
  • 毎月の源泉徴収と年末調整の違い

結論

毎月の給与から差し引く所得税は、給与に一定の率を掛けて出すのではありません。社会保険料などを差し引いたあとの給与額と、扶養親族等の数をもとに、国税庁の「源泉徴収税額表」で求めます。そして1年分の税額は、年末調整で精算します。毎月の源泉徴収と年末調整は、役割の違う別の処理です。

源泉徴収税額表で求める

給与を支払う会社は、給与から所得税を差し引いて納める義務があります(源泉徴収)。毎月の税額は、国税庁が毎年公表する「源泉徴収税額表」を使って求めます。表には、月ごとに払う給与に使う「月額表」、日ごとに払う給与などに使う「日額表」、賞与に使う「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」があります。

月額表の使い方は、おおむね次のとおりです。

  1. その月の給与から、社会保険料と雇用保険料などを差し引く
  2. 差し引いたあとの額が、表のどの行に当たるかを見る
  3. 扶養親族等の数に応じた列の税額を読む

表の税額には、所得税に加えて復興特別所得税も含まれています。

甲欄と乙欄

月額表には「甲欄」と「乙欄」があります。どちらを使うかは、社員が「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を会社に出しているかどうかで決まります。

  • 申告書を出している人:甲欄(扶養親族等の数に応じて税額が決まる)
  • 出していない人:乙欄(甲欄より高い税額になる)

申告書は、主な給与を受け取る1か所の会社にしか出せません。副業先など2か所目の会社の給与には、乙欄が使われます。入社時に申告書を回収し忘れると、本来は甲欄の人に乙欄の高い税額を差し引いてしまうので、入社手続きで忘れずに確かめます。

2026年分から税額表が変わっている

令和7年度の税制改正で、基礎控除の見直し、給与所得控除の最低保障額の引き上げ(55万円から65万円へ)、19歳以上23歳未満の親族を対象とする特定親族特別控除の創設などが行われました。

国税庁の案内では、この改正にともない、2026年(令和8年)1月以後に支払う給与には、新しい「令和8年分 源泉徴収税額表」を使います。2025年分については、2025年12月の年末調整で改正後の内容にもとづいて1年分の税額を計算し、精算しました。

給与計算の仕組みで税額表を前の年のまま使っていると、2026年の給与の源泉徴収額がずれます。税額表は1月に切り替わるものとして、毎年確かめます。

令和8年度の改正(2026年12月1日施行予定)

これとは別に、令和8年度の税制改正で、基礎控除の引上げ、給与所得控除の最低保障額の引上げ、扶養親族等の所得要件の改正が行われました。国税庁の案内では、原則として2026年(令和8年)12月1日に施行され、令和8年分以後の所得税に適用されます。2026年11月7日の時点ではまだ施行前です。2026年11月までの源泉徴収は変わらず、2026年12月に行う年末調整から変わります。金額などの詳しい内容は、国税庁の案内で確かめてください。

毎月の源泉徴収と年末調整の違い

毎月の源泉徴収は、その月の給与だけを見て、1年分の税額を月ごとに見込みで差し引くものです。生命保険料控除や地震保険料控除などは毎月の計算には反映されず、扶養親族の異動も、扶養控除等(異動)申告書を出したあとの給与からしか反映されません。

年末調整は、1年分の給与が確定したあとに、控除をすべて反映した正しい年税額を計算し、毎月差し引いた合計との差額を精算する手続きです。多く引いていれば返し、少なければ追加で差し引きます。

入社したときに確かめること

所得税の源泉徴収で間違いが起きやすいのは、入社したときです。

  • 扶養控除等申告書を回収したか(出していないと乙欄になる)
  • 前の会社の源泉徴収票を受け取ったか(年の途中の入社で、年末調整に使う)
  • ほかの会社で主な給与を受け取っていないか(二つ目の会社なら乙欄)
  • 扶養親族の人数と、それぞれの年齢や所得の見込み

申告書は、年の途中で扶養親族が増えたり減ったりしたときにも、あらためて出してもらいます。

給与計算の仕組みに求められること

税制は毎年のように変わるので、給与計算の仕組みは、年ごとの税額表を切り替えられる作りである必要があります。前の年の給与を計算し直すときには前の年の表を、今年の給与には今年の表を使えるように、表を年ごとに持っておきます。扶養親族等の数も、申告書の提出日と内容を履歴として持っておくと、年の途中の変更を正しく反映できます。

申告書の提出日を記録しておくことは、甲欄と乙欄のどちらを使ったかを後から確かめるときの根拠にもなります。

まとめ

所得税は、社会保険料などを差し引いた給与額と扶養親族等の数から、源泉徴収税額表で求めます。扶養控除等申告書を出していれば甲欄、出していなければ乙欄です。2026年1月以後の給与には令和8年分の新しい表を使います。毎月の源泉徴収は見込み、年末調整で1年分を精算します。税制は毎年変わるので、1月の切り替えのたびに国税庁の最新の案内を確かめてください。

1年分の精算の流れは「年末調整とは?」で、住民税との違いは「住民税の特別徴収とは?」で整理しています。