- 住民税の特別徴収と納入の仕組み
- 所得税と住民税で違う4つのところ
- 給与の仕組みで控除を分けて持つ理由
- 住民税が切り替わる6月に確かめること
結論
会社員の住民税は、会社が毎月の給与から差し引き、市区町村へ納める「特別徴収」が基本です。給与担当者が気をつけたいのは、所得税と住民税を混同しないことです。所得税はその月の給与から会社が計算しますが、住民税は市区町村が決めて通知してきた金額を、そのとおりに差し引きます。
特別徴収のしくみ
住民税(市区町村民税と都道府県民税をあわせたもの)は、前の年の所得をもとに市区町村が税額を決めます。会社には、社員ごとの税額を書いた「特別徴収税額決定通知書」が届きます。
地方税法第321条の5と、東京都主税局の案内によると、給与所得の特別徴収税額は、6月から翌年5月までの12回に分けて毎月の給与から徴収し、徴収した月の翌月10日までに市区町村へ納入します。
なお、給与の支払を受ける人が常時10人未満の事業主は、申請して承認を受けると、6月分から11月分を12月10日までに、12月分から5月分を6月10日までに、年2回に分けて納入できます(納期の特例。地方税法第321条の5の2)。
つまり特別徴収は6月分から始まり、翌年5月分で終わります。毎年5月から6月にかけて新しい通知が届き、6月の給与から新しい税額に切り替わります。
所得税との違い
同じ「給与から差し引く税金」でも、所得税と住民税はしくみが違います。
| 所得税 | 住民税 | |
|---|---|---|
| 誰が額を決めるか | 会社が計算する | 市区町村が決めて通知する |
| 何をもとにするか | その月の給与 | 前の年の所得 |
| 切り替え | 1月(税額表が年ごと) | 6月(通知が年ごと) |
| 精算 | 年末調整 | 翌年度の税額で反映 |
所得税は、その月の給与額と扶養親族等の数から、源泉徴収税額表で会社が計算します。住民税は計算しません。通知された額を、そのまま差し引きます。
給与の仕組みで分けて持つもの
この違いから、給与計算の仕組みでは、控除を2種類に分けて持つ必要があります。
- 税額表や料率から、その月の給与をもとに自動で計算する控除(所得税、雇用保険料など)
- 社員ごとに通知された金額を、決まった月にそのまま差し引く控除(住民税)
住民税の側では、社員ごとに「6月から翌年5月までの月ごとの額」を持ちます。6月だけ金額が違うことがあるので、1つの月額を12か月続けるだけの作りでは合いません。また、年度の途中で通知が変わることもあります(税額の変更通知)。
入社・退職のとき
年度の途中で入社した人は、前の会社から特別徴収を引き継ぐ手続きをするか、本人が自分で納める「普通徴収」から切り替えるかで扱いが変わります。退職する人は、残りの税額をどう納めるか(一括で差し引くか、本人が納めるか)を決め、市区町村へ届け出ます。時期によって一括徴収が必要になる場合もあります。手続きは市区町村ごとに様式があるので、社員が住んでいる市区町村の案内を確かめます。
6月の切り替えで確かめること
住民税の年度が切り替わる6月は、給与担当者にとって間違いやすい月です。
- 全員分の新しい税額の通知が届いているか(届いていない社員がいないか)
- 6月の額と、7月以降の額が違う社員を正しく登録したか
- 前の年度の額のまま6月の給与を計算していないか
- 退職した人の分の通知が届いていないか(届いた場合の手続き)
通知は市区町村ごとに届くので、社員が住む市区町村が多い会社ほど確認に時間がかかります。5月のうちに一覧を作り、届いたものから印を付けていくと漏れを防げます。
給与明細で分けて表示する
給与明細では、所得税と住民税を別の行で表示します。社員から見ると同じ「税金」ですが、問い合わせ先が違います。所得税は会社(年末調整)、住民税は住んでいる市区町村です。明細で分けておくと、社員の問い合わせにも答えやすくなります。
特別徴収と普通徴収
住民税の納め方には、会社が給与から差し引いて納める特別徴収のほかに、本人が市区町村から届く納付書で自分で納める普通徴収があります。会社員は特別徴収が原則ですが、退職した人や、給与の支払いが不定期な人などは普通徴収になることがあります。どちらになっているかは市区町村の通知で分かるので、給与計算の仕組みでは社員ごとに徴収の方法も持っておき、特別徴収の人だけを控除の対象にします。
まとめ
住民税の特別徴収は、市区町村が決めた税額を、6月から翌年5月まで12回に分けて給与から差し引き、翌月10日までに納めるしくみです。所得税は会社が計算し、住民税は通知どおりに差し引きます。給与の仕組みでは、計算する控除と、通知額を差し引く控除を分けて持ちます。入社・退職の手続きは、社員の住む市区町村の案内に従ってください。