暮らしの備え

南海トラフ地震臨時情報が出たら。警戒・注意・調査中の違いと、家庭と職場ですること

南海トラフ地震臨時情報は、巨大地震の発生の可能性が平常時より相対的に高まったことを知らせる情報で、予知ではありません。気象庁などの公表資料をもとに、4つのキーワードの違い、出たときに家庭と職場ですること、2024年8月の初めての発表、北海道・三陸沖後発地震注意情報との違いを整理します。

最終確認 2026.11.08約4分で読めます

この記事で分かること
  • 「調査中」「巨大地震警戒」「巨大地震注意」「調査終了」の違い
  • 出たときに家庭と職場で見直すこと
  • 事前避難対象地域とは何か
  • 2024年8月の初めての発表で呼びかけられたこと
  • 北海道・三陸沖後発地震注意情報との違い

結論

「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで普段と違う現象が観測されたときに、気象庁が出す情報です。巨大地震を予知するものではなく、発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったことを知らせるものです。

出たときにすることは、家具の固定や避難経路といった日頃の備えを見直し、揺れや津波警報ですぐ逃げられる態勢で1週間ほど過ごすことです。仕事や学校は基本的に続けます。市町村が定めた「事前避難対象地域」に住む人だけは、「巨大地震警戒」のときに1週間の事前避難を求められます。

4つのキーワードの違い

情報名の後ろに付くキーワードを、気象庁の説明から要約します。

キーワード出る条件(要約)主な対応
調査中監視領域内でM6.8以上の地震があったときなどに、評価検討会を臨時に開く続報を待つ
巨大地震警戒想定震源域のプレート境界でMw8.0以上の地震が起きたと評価事前避難対象地域は1週間の事前避難。ほかの地域は備えの再確認
巨大地震注意監視領域内でMw7.0以上の地震、またはプレート境界で通常と異なるゆっくりすべりがあったと評価1週間、備えの再確認とすぐ逃げられる準備
調査終了警戒・注意のどちらにも当たらないと評価普段の生活に戻る

Mw(モーメントマグニチュード)は断層のずれの規模を精査した値で、地震直後のマグニチュードと違うことがあります。「警戒」「注意」は、現象の発生から最短で2時間程度で発表されます。「調査中」の間は、テレビやラジオ、自治体の発表で続報を待てば足ります。

臨時情報のキーワードと、とる行動

調査中
  • 評価検討会を臨時に開く
  • テレビ・ラジオで続報を待つ

→ 慌てて動かない

巨大地震警戒
  • 事前避難対象地域は1週間避難
  • ほかの地域は備えを見直す
  • その後さらに1週間注意

→ 市町村の指示に従う

巨大地震注意
  • 事前避難はしない
  • 1週間、備えを再確認
  • すぐ逃げられる態勢

→ 仕事や学校は続ける

調査終了
  • 警戒・注意に当たらない
  • 普段の生活に戻る

→ 日頃の備えは続ける

気象庁と防災庁(旧・内閣府防災担当)の資料をもとにしています。

出たときに家庭と職場ですること

国の防災情報のページでは、とるべき対応が次の3つに分けて示されています。

  1. 日頃からの地震への備えの再確認:避難場所と避難経路、家族との連絡手段、家具の固定、非常食などの備蓄
  2. 特別な備え:すぐに逃げられる態勢の維持、非常持出品の常時携帯など
  3. 事前避難:津波の到達が早く、揺れてからでは避難が間に合わないおそれがある地域の住民が、市町村の指示で行う

「巨大地震警戒」のとき、事前避難対象地域の人は1週間避難し、その後さらに1週間は特別な備えを続けます。それ以外の対象地域の人は、2週間にわたって特別な備えと再確認を続けたうえで、社会経済活動を続けます。「巨大地震注意」では、1週間の特別な備えと再確認が中心です。

家庭なら、枕元に靴と懐中電灯を置く、非常持出袋を玄関にまとめる、といったことが「すぐ逃げられる態勢」の例です。職場では、避難誘導の手順と、館内の人への伝え方を確かめます。

確認リスト

  • 自宅や職場が「事前避難対象地域」に入っているかを市町村の案内で確かめたか
  • 非常持出袋を、すぐ持ち出せる場所に置いているか
  • 夜間に揺れたときの避難先と経路を家族で共有しているか

2024年8月8日の初めての発表

2024年8月8日16時43分ごろ、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震があり、宮崎県日南市で震度6弱を観測しました。気象庁は17時に「調査中」を発表し、評価検討会での検討を経て、19時15分に「巨大地震注意」を発表しました。2019年5月の運用開始以来、初めての発表です。

政府は、日頃からの地震への備えの再確認と、地震が起きたらすぐ避難できる準備を呼びかけました。事前避難は求めていません。この特別な注意の呼びかけは、地震から1週間がたった8月15日17時に終わりました。内閣府の広報誌は、受け止めに戸惑いや誤解も見られたとして、決まった期間内の発生を言い切る情報ではないと改めて説明しています。

北海道・三陸沖後発地震注意情報との違い

日本海溝・千島海溝沿いには、似た仕組みの「北海道・三陸沖後発地震注意情報」があります。2022年12月に運用が始まり、想定震源域に影響を与える場所でMw7.0以上の地震が起きたときに出ます。2025年12月8日の青森県東方沖の地震(M7.5、最大震度6強)を受けて12月9日2時に初めて発表され、2026年4月20日の三陸沖の地震でも発表されました。

違いは、情報が「注意」の1種類だけで、南海トラフの「巨大地震警戒」のような事前避難を前提にした段階がないことです。対象は北海道から千葉県の太平洋側を中心とする市町村で、呼びかけの内容は1週間の備えの再確認とすぐ逃げられる態勢の維持など、「巨大地震注意」とほぼ同じです。2025年12月の発表資料は、Mw7.0以上の地震の後7日以内にMw7.8以上の地震が起きた世界の例は百回に1回程度だとしています。

注意点

気象庁は、臨時情報が出ないまま突然起きることもあるとしています。普段の備えが基本です。政府が日時を指定して地震を予知する情報を出すことはないので、「何日に大地震」といった投稿は広めないでください。食料品などの買いだめも控えるよう呼びかけられています。緊急地震速報をスマホで受け取る設定は、緊急地震速報の訓練の記事で確かめられます。

今日、まず確認すること

お住まいの市町村のページで、南海トラフ地震防災対策推進地域に入っているか、事前避難対象地域が決められているかを確かめてください。