IT基礎

小規模事業者のサイトは何で作るか。選び方の順番

静的サイト、CMS、サイトビルダー、WordPress、Astro。どれが良いかは会社によって違います。誰がどれくらいの頻度で何を更新するかを先に決めると、候補は自然に絞れます。選び方の順番を説明します。

最終確認 2026.10.24約4分で読めます

この記事で分かること
  • サイトの作り方より先に決める4つのこと
  • 静的HTML・ビルダー・CMSなどの向き不向き
  • WordPressを選ぶ前に確かめる条件
  • ドメインと原稿を自社で持つ理由

結論

「何で作るか」から考えると決まりません。先に決めるのは、誰が更新するか、どれくらいの頻度で何を更新するか、どんな機能が要るか、保守にどれだけ手間をかけられるか、の四つです。社長が月に一度だけお知らせを足すサイトと、スタッフ三人が毎日商品を入れ替えるサイトでは、向いている作り方が違います。この四つが決まれば、候補は二つか三つに絞れます。

先に決める四つのこと

作り方を比べる前に、次を紙に書き出してください。ここが曖昧なまま見積もりを取ると、出てきた提案を比べられません。

  1. 更新する人は誰か。社内の担当者か、外部に頼むのか。その人はHTMLを触れるのか。
  2. 更新の頻度と内容は何か。お知らせの追加だけか、価格や在庫も変わるのか。
  3. 必要な機能は何か。問い合わせフォームだけか、予約・決済・会員ページまで要るのか。
  4. 保守にかけられる手間はどれくらいか。更新作業と、不具合が出たときの対応を誰が持つのか。

四つ目は飛ばされがちですが、ここが後から効いてきます。作ることより、作った後に誰も触れなくなることのほうが、よくある失敗です。

作り方ごとの向き不向き

作り方向いている場合つまずきやすい点
手書きの静的HTMLページ数が十数枚で、更新がまれ。社内にHTMLを触れる人がいる触れる人が辞めると止まる。ページが増えると共通部分の直しが重い
静的サイトジェネレータページ数が多く、見た目をそろえたい。更新を手順として残したい作る側に技術が要る。担当者が画面から直せるとは限らない
サイトビルダー更新する人が非エンジニアで、機能が定型でよい細かい見た目や独自の機能に限界がある。引っ越しが難しいことがある
CMS(WordPressなど)更新が多く、複数人が画面から書く。機能を足したい更新作業と保守が続く。放置すると危険な状態になる
ECのサービス商品を売る。決済と在庫を持つサイト全体をそこに寄せると、他の情報が収まりにくい

静的サイトジェネレータの例としてよく挙がるAstroは、公式の説明でも、ブログや商品紹介のような読み物中心のサイト向けで、既定では利用者のブラウザに送るJavaScriptを持たない作りだと説明されています。必要なところだけ対話的な部品を差し込む考え方です。見た目の統一とページの表示の軽さを重視するなら候補になりますが、更新する人が画面から書き換えたい場合は、別に仕組みが要ります。

WordPressを選ぶ前に確認すること

WordPressは候補から外す理由がない選択肢ですが、動く場所の条件があります。公式の動作環境のページ(2026年10月時点)では、推奨する環境として、PHP 8.3以上、MariaDB 10.11以上またはMySQL 8.0以上、HTTPSへの対応が挙げられています。サーバーはApacheかNginxが勧められており、PHPとMySQLが動くサーバーであれば動作するとも書かれています。条件は版が上がると変わるので、契約前に公式の動作環境のページで最新の記載を確認してください。

注意
動くことと、放っておいて平気なことは別です。本体・テーマ・プラグインの更新が止まったサイトは、時間が経つほど危険になります。更新を誰がいつ行うかを決められないなら、CMS以外の作り方を検討したほうが安全です。

実務ではこうなる

三人の工務店で、施工例を月に二、三件足すだけなら、静的なサイトで足ります。更新は制作を頼んだ相手に月一度まとめて依頼し、写真と文章をフォルダで渡す運用にすれば、社内に技術者は要りません。

一方、整体院で、キャンペーンや休診日を院長が自分で書き換えたい場合は、画面から直せることが最優先です。この場合はサイトビルダーかCMSになります。見た目の細かさより、院長が三分で直せるかどうかで選びます。

食品を二十点ほどネットで売る店なら、サイト全体を作り込む前に、決済と在庫を持てるサービスを先に決めます。会社の紹介ページをそこに載せられるかを確かめ、収まらない分だけ別に作るほうが早く始められます。

ここがポイント
どの作り方を選んでも、独自ドメインは自社の名義で取り、DNSの管理画面に自社でログインできる状態にしておいてください。ここを制作会社任せにすると、乗り換えたいときに動けなくなります。

注意点

比較のときに「将来どんな機能でも足せるか」を基準にすると、たいてい重い作り方を選ぶことになります。使うかどうか分からない機能のために、毎月の保守が増えるのは割に合いません。今年使う機能で選び、足りなくなったら作り直すほうが、結果として安く済むことがあります。

それから、記事や商品情報の原稿は、サイトとは別にテキストや表で保管しておいてください。原稿が手元にあれば、作り方を変えるときの移行は作業で済みます。サイトの中にしか原稿が無いと、移行のたびに書き直しになります。

まとめ

作り方は好みで選ばず、更新する人と頻度で選びます。まれにしか更新しないなら静的、担当者が自分で書き換えるならビルダーかCMS、物を売るなら決済から決める。どれを選んでも、ドメインの名義と原稿の控えは自社に持っておいてください。この二つがあれば、選び直しはいつでもできます。