総務・経理

遅刻・早退の控除はどう計算する?担当者で変えないために

遅刻や早退で給与を差し引くときは、働かなかった時間に見合う分が基本で、それを超えて引くと減給の制裁として法律の上限がかかります。規程に書いておくことと、勤怠から給与へ渡す流れを整理します。

最終確認 2026.10.24制度状況:現行約4分で読めます

この記事で分かること
  • 控除の基本になる「働かなかった時間の分」
  • 実際の時間を超えて引くと減給の制裁になる理由
  • 遅刻・早退の控除で規程に書く5つのこと
  • 勤怠で時間を確定してから給与で計算する流れ

結論

遅刻や早退で給与を差し引くときの基本は、働かなかった時間に見合う分だけを引くことです。それを超えて引くと、労働基準法の「減給の制裁」に当たり、上限の決まりがかかります。大切なのは、控除の決まりを会社の規程に書き、担当者によって計算を変えないことです。

基本は「働かなかった時間の分」

賃金は働いたことに対して支払うものなので、働かなかった時間については支払わなくてよい、というのが基本の考え方です(ノーワーク・ノーペイと呼ばれます)。遅刻で30分働かなかったなら、30分に見合う賃金を差し引くことができます。

一方、労働基準法第24条は、賃金は全額を支払うことを原則としています。働かなかった時間の分を超えて差し引くことは、この原則との関係で問題になります。

実際の時間を超えて引くと「減給の制裁」

「遅刻1回につき1時間分を引く」「5分の遅刻でも30分単位で切り上げて引く」といった決まりは、働かなかった時間を超えて引く部分が、罰として給与を減らす「減給の制裁」に当たります。

労働基準法第91条は、減給の制裁について次の上限を決めています。

  • 1回の額が、平均賃金の1日分の半額を超えないこと
  • 総額が、1回の賃金支払期の賃金総額の10分の1を超えないこと

さらに、減給の制裁をするには、就業規則に定めておく必要があります。罰として引く部分と、働かなかった時間に見合う部分は、分けて考えます。

規程に書いておくこと

遅刻・早退の控除を担当者の判断にまかせると、同じ30分でも人によって引く額が変わります。これを防ぐため、賃金規程に次を決めておきます。

  1. 控除の単位(1分単位か、それ以外か)
  2. 1時間あたりの賃金の出し方(月給を何で割るか)
  3. 対象に含める手当・含めない手当
  4. 遅刻・早退の証明(交通機関の遅延など)があった場合の扱い
  5. 減給の制裁を設けるかどうか、設けるならその内容

「この30分はどうする?」と毎月その場で判断する運用は、担当者に仕事がつき、担当が替わると計算が変わります。

勤怠から給与への一貫した流れ

遅刻・早退は、勤怠で正確な時刻を持っておくことが出発点です。

  1. 勤怠で遅刻・早退の時刻を記録する
  2. 勤怠を締めて、控除の対象になる時間を確定する
  3. 給与計算で、規程の計算式を使って控除額を出す

勤怠の側で「何分遅れたか」を確定させ、給与の側では規程に沿った計算式を使うだけ、という分担にすると、担当者によるぶれがなくなります。APOUL KINTAI は、打刻の記録と、打刻を直したときの記録を残し、締めた数字を次の工程に渡せる形を目指しています。

計算の例

月給24万円、1か月の平均所定労働時間が160時間の社員が、ある月に合計45分遅刻したとします。

  • 1時間あたりの賃金:24万円÷160時間=1,500円
  • 働かなかった時間の分:1,500円×0.75時間=1,125円

この1,125円が、働かなかった時間に見合う控除です。これを「遅刻は30分単位で切り上げる」として1時間分の1,500円を引くと、差の375円は働かなかった時間を超えて引いていることになり、減給の制裁に当たり、就業規則に定めがなければ行えません。

よくある質問

Q. 電車の遅延で遅れた場合も控除しますか。 法律で一律に決まっているわけではなく、会社の規程で決めます。遅延の証明があれば控除しない、と決めている会社もあります。決めたら全員に同じ扱いをします。

Q. 遅刻した日に残業した場合は相殺できますか。 遅れた時間と残業した時間を単純に相殺すると、残業代の計算が変わることがあります。法定労働時間を超えた部分には割増が必要なので、相殺のしかたは慎重に決め、規程に書いておきます。

控除の計算に使う「1か月の平均所定労働時間」は、残業代の計算に使う時間と同じ考え方でそろえておくと、担当者が二つの数字を使い分ける必要がなくなります。規程には、どの時間で割るかも書いておきます。

まとめ

遅刻・早退の控除は、働かなかった時間の分が基本です。それを超えて引く部分は減給の制裁に当たり、1回の額と総額に上限があり、就業規則に定めが要ります。控除の単位や計算方法を規程に書き、勤怠で時間を確定させてから給与で計算する流れにします。規程を作るときは、社会保険労務士などの専門家に確認してください。

欠勤の場合の考え方は「欠勤控除はどう考える?」で、1時間あたりの賃金の出し方は「残業代はどう計算する?」で整理しています。

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