暮らしの備え

家具の固定と感震ブレーカー。地震のけがと通電火災を減らす部屋の備え

東京消防庁の調べでは、近年の地震でけがをした人の約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。固定器具の選び方と組み合わせ、寝室・子ども部屋・出入口の置き方、感震ブレーカーの種類と注意点、自治体の補助の探し方を、消防庁・東京消防庁・経済産業省などの資料で整理します。

最終確認 2026.11.08約4分で読めます

この記事で分かること
  • 地震のけがに占める家具の転倒・落下の割合
  • 固定器具の種類と、穴を開けずに固定する組み合わせ
  • 寝室・子ども部屋・出入口の家具の置き方
  • 感震ブレーカーの4つのタイプと注意点
  • 自治体の補助の探し方

結論

地震のけがを減らすいちばんの近道は、寝る場所と出入口のまわりから倒れる家具をなくすことです。そのうえで背の高い家具を、ネジで留めるL字金具などで壁に固定します。穴を開けられない部屋では、ポール式とストッパー式(または粘着マット式)を組み合わせます。

揺れの後の火災には、揺れを感じて電気を止める感震ブレーカーが役に立ちます。器具代を補助する自治体もあります。

家具はどれくらいけがの原因になるか

東京消防庁の資料(2023年3月9日現在)では、近年の地震でけがをした人のうち、約30〜50%が家具類の転倒・落下・移動によるものでした。地震ごとの割合は、岩手・宮城内陸地震(2008年)が44.6%、熊本地震(2016年)は一般住宅で29.2%、高層マンションで40.0%です。

東京消防庁が東日本大震災の後(2011年)に都内で行った調査では、家具類が転倒・落下・移動した割合は1〜2階で16.8%、11階以上で47.2%でした。高層階では、キャスター付きの家具が滑って動く被害も起きます。

一方、内閣府の「防災に関する世論調査」(2022年12月)で、家具や家電を固定していると答えた人は35.9%でした(消防庁「消防の動き」2024年1月号)。

固定の方法と組み合わせ

東京消防庁は、最も効果が高いのはネジで固定する器具だとしています。

器具特徴向いている場面
L字(L型)金具家具と壁をネジで留める持ち家、壁に柱や桟がある場所
ポール式家具の天板と天井の間で突っ張る穴を開けられない部屋。単独より組み合わせて
ストッパー式・粘着マット式家具の前下や底に敷き、前に倒れにくくするポール式と組み合わせる
ベルト式家電や家具を壁や台につなぐ冷蔵庫、電子レンジなど

賃貸住宅などで穴を開けられないときは、ポール式とストッパー式(または粘着マット式)のように2つ以上を組み合わせると、L字金具と同じくらいの効果が得られるとしています。家電は、テレビは本体とテレビ台の両方を、電子レンジは本体と台の両方を固定し、冷蔵庫は脚のロックと上部のベルトを使います。食器棚には扉が開かない器具とガラスの飛散防止フィルムを付けます。

寝室・子ども部屋・出入口の置き方

東京消防庁は、対策の順番を「集中収納、レイアウトの見直し、転倒・落下防止、移動防止」とし、納戸などに家具を集めて生活する部屋の家具を減らすのが最も有効としています。

消防庁は、寝室や子ども・高齢者の部屋、出入口の近くには、背の高い家具をできるだけ置かないよう勧めています。寝る位置は家具の高さ以上離すか、家具の正面を避けます。出入口の近くに置くなら、倒れても通り抜けられる空間を残します。重い家電は低い位置に置きます。子ども部屋なら、背の低い棚を選び、重い本は下の段に入れます。

確認リスト

  • 寝ている位置に、背の高い家具が倒れてこないか
  • 寝室と玄関までの通り道に、倒れると道をふさぐ家具がないか
  • テレビと電子レンジを、台ごと固定しているか

部屋の地震対策は、この順番で

家具を減らす
  • 納戸などに集中して収納
  • 寝る場所に家具を置かない

→ 最も有効

置き方を変える
  • 寝る位置は家具の高さ以上離す
  • 出入口の近くに置かない
  • 重い物は低い位置に
固定する
  • L字金具でネジ止め
  • 穴なしはポール式+ストッパー
  • テレビは台ごと固定

→ 2つ以上を組み合わせ

電気を止める
  • 感震ブレーカーを付ける
  • 足元灯・懐中電灯も用意
  • 避難時はブレーカーを切る

→ 通電火災を防ぐ

東京消防庁・消防庁・経済産業省などの資料をもとにしています。

感震ブレーカーと通電火災

地震の後は、倒れた電気ストーブに燃えやすい物が触れたり、傷んだコードに電気が流れたりして火が出ることがあります。停電が戻ったときに起きるものは「通電火災」と呼ばれます。消防庁の資料では、阪神・淡路大震災(1995年)の地震火災139件のうち85件(約6割)、東日本大震災(2011年)の108件のうち58件(約5割強)が電気によるものでした。

タイプ仕組み価格の目安工事
分電盤タイプ(内蔵型)分電盤のセンサーがブレーカーを落とす約5万〜8万円必要
分電盤タイプ(後付型)漏電ブレーカーのある分電盤に感震機能を付ける約2万円必要
コンセントタイプコンセントごとに電気を止める約5,000〜2万円型による
簡易タイプ重りの落下やばねでブレーカーを落とす3,000〜4,000円程度不要

価格は消防庁資料の一般的な目安です。分電盤タイプは一般に、揺れを感じてから3分程度待って止まるので、その間は明かりが使えます。簡易タイプはすぐに家中の電気が止まるので、停電で点く足元灯や懐中電灯を用意します。在宅で医療機器を使う家庭はバッテリーも必要です。どのタイプでも、避難するときはブレーカーを切り、電気を戻す前にガス漏れや電気製品の傷みを確かめます。

補助の探し方

感震ブレーカーの購入や取付を補助している自治体があります。例えば横浜市は、2026年度の申請を2026年6月1日から2027年1月31日まで受け付けています(予算に達し次第終了)。重点対策地域は器具代を全額、ほかの地域は一部を補助します。補助の有無や対象は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村のサイトで「感震ブレーカー 補助」「家具転倒防止 補助」と探してください。

今日、まず確認すること

自宅の分電盤を開けて、感震機能の表示があるかを確かめ、なければ市区町村の補助の有無を調べてください。